来年、2019年でシリーズ開始から40周年を迎える「機動戦士ガンダム」。作品の主軸である宇宙世紀を舞台とした作品の最新作である劇場用作品『機動戦士ガンダムNT』が11月30日より公開される。

宇宙世紀を舞台とした作品の完全新作劇場版としては、1991年公開の『機動戦士ガンダムF91』以来27年ぶり、ガンダム作品の完全新作劇場版としては2010年公開の『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』以来8年ぶりとなる。

人気作「機動戦士ガンダムUC」で描かれた戦いから1年後の世界を舞台に、行方不明となっていたユニコーンガンダム3号機の存在を巡って、新たな戦いの幕開けが描かれて行く。

40年という長きに渡って愛されてきたガンダム作品は、主軸となる「宇宙世紀(ユニバーサルセンチュリー=U.C.)」シリーズを筆頭に、時代性に合わせたさまざまな作品が生み出されてきた。改めてその作品世界の多様性について振り返っていこう。

機動戦士ガンダムNT ネタバレなし

『機動戦士ガンダムNT』11月30日(金)全国ロードショー(C)創通・サンライズ

ガンダムシリーズの王道、「戦争」を描く物語

第1作目である「機動戦士ガンダム」は、ロボットアニメとして多くの画期的な要素があるが、中でも大きく支持されたのがリアルな「戦争」とその兵器としてのロボットが描かれるリアルなミリタリー的な描写にあるだろう。

それまでのロボットアニメが、唯一無二の強さを持つロボットに乗った主人公が、侵略者たる敵と戦う「勧善懲悪」的なものがメインだったのに対し、「機動戦士ガンダム」では、新たな世紀「宇宙世紀」に宇宙へ移民した人々のイデオロギー的な対立が戦争へと発展し、それを舞台とする形でドラマが描かれていった。

宇宙世紀を舞台した作品は、「機動戦士Zガンダム」といった続編、「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」などの時代の狭間を描いた作品をはじめ、パラレル的な『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』や『機動戦士ガンダム サンダーボルト』など多岐にわたっている。

そして、平成に入ると、女性ファンの注目を集めた「新機動戦記ガンダムW」、「新生代のファーストガンダム」として制作された「機動戦士ガンダムSEED」など、宇宙世紀を舞台にしない独自の世界観ながら、ガンダム的な意思を受け継いだ王道作品も多数作られていった。

さらに広がった「ガンダム」を再解釈した世界観

「戦争を舞台とした物語」という王道的ガンダム作品だけでなく、その解釈が大きく広がっていったこともガンダム作品の特徴と言えるだろう。

宇宙世紀を舞台としたガンダム作品が一息ついた1994年には、戦争の代わりにコロニー国家を代表するガンダムが格闘技によってその覇権を巡る「機動武闘伝Gガンダム」が登場。この作品の登場以後、ガンダム作品はよりバラエティに富んだ解釈で作品が展開されていった。

ガンダム20周年には「機動戦士ガンダム」の産みの親でもある富野由悠季監督によるガンダム世界を総括し、遙か未来の物語として描いた「∀ガンダム」、宇宙を舞台とした任侠もののような展開が話題となった「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」など、ガンダム作品はさらなる可能性の幅を広げていく。

機動戦士ガンダムNT 解説

『機動戦士ガンダムNT』11月30日(金)全国ロードショー(C)創通・サンライズ

世界観の解釈までも大きく変える多様性の拡大

ガンダム作品は、ヤングアダルトに向けたハイターゲットな作品が多い印象だが、その一方で低年齢層や、さらなるファン層へ向けた作品も多数発表されている。

1990年代には、カードダスやガシャポンなどと連動した「SDガンダム」シリーズを展開。デフォルメされたガンダムがコミカルな姿で戦うシリーズは、戦国ものやファンタジー的な世界観にまで広がり、低年齢層にも浸透した。

また2013年には、ロボットとしてのガンダムではなく、ガンダムのプラモデル=ガンプラをテーマにしたアニメ「ガンダムビルド」シリーズがスタート。こうした表現の幅の拡大が、ハイターゲットに留まらない幅広い層へのガンダムの認知度の拡大につながっていったといえるだろう。

機動戦士ガンダムNT 映画

『機動戦士ガンダムNT』11月30日(金)全国ロードショー(C)創通・サンライズ

40年という節目までの間に、世界の広がりと多様性を広げて来たガンダムシリーズ。40周年に向けて、原点である宇宙世紀を補強する新たな物語を描いていく「UC NexT 0100」プロジェクトが始動し、『機動戦士ガンダムNT』はその第1作目として位置づけられている。

これからもさらなる拡大が続くガンダムシリーズの中には、きっと自分にあった1本が存在するはず。お気に入りの1本を見つけて、そこからガンダム作品の持つ世界観を味わってみてはいかがだろうか?

(文/石井誠・サンクレイオ翼)