俳優・毎熊克哉の快進撃が止まらない。第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝いた『万引き家族』で好演のほか、現在放送中の連続テレビ小説「まんぷく」(NHK)にも塩作りに精を出す通称“塩軍団”の森本役で出演中。話題作のオファーをひっきりなしに受け今年出演した作品は10作以上、さらに12月にも出演映画2作が封切りを控えるなど、その活躍ぶりに注目が集まっている。

いま、ブレーク真っただ中の毎熊とは、果たしてどんな俳優なのか。

映画が好きな少年時代…学校卒業後は俳優に

『新宿パンチ』シネマート新宿ほかにて公開中(C)2018「新宿パンチ」製作委員会

「3歳で『E.T』を観て映画を好きになった」と語る毎熊。そして10歳のころには、『ターミネーター2』をビデオテープが擦り切れるほど繰り返し観賞するなど、映画の世界にのめり込み、映画を作りたいという想いを強くしていったのだとか。もとは映画監督志望だったが、東京フィルムセンター映画・俳優専門学校(現・東京放送芸術&映画・俳優専門学校)の映画監督科コースを卒業後は、俳優に転身。数々のヒット映画やドラマや舞台に出演し、順調にキャリアを重ねてきた。

そんな毎熊の出世作といえば、カトウシンスケとW主演をつとめた映画『ケンとカズ』(2016年)だ。同校の同級生である小路紘史監督が抜擢したほぼ無名の俳優2人を主演に迎えた本作は、第28回東京国際映画祭で日本映画スプラッシュ部門作品賞を受賞。毎熊自身も、第71回毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞、おおさかシネマフェスティバル2017新人男優賞、第31回高崎映画祭最優秀新進男優賞など数々の賞に輝いたことで一気に知名度を上げ、翌2017年は『彼女の人生は間違いじゃない』『ろくでなし』『獣道』『ダブルミンツ』『全員死刑』と、映画だけでも5作に出演し大きな躍進を遂げた。

ラブコール絶えず…2018年は飛躍の年

『北の桜守』DVD発売中(C)2018「北の桜守」製作委員会/発売元:テレビ朝日/販売元・東映株式会社・東映ビデオ株式会社

出世作となった『ケンとカズ』出演時には、すでに29歳。遅咲き俳優ともいえる毎熊だが、ブレークした要因は何だったのだろうか。

今年2018年は3月公開の映画だけでも、『北の桜守』『素敵なダイナマイトスキャンダル』『去年の冬、きみと別れ』と3作に出演。『北の桜守』では、主演の吉永小百合をはじめ、佐藤浩市、高島礼子、中村雅俊、阿部寛、堺雅人らベテラン勢と肩を並べ、堂に入った演技を見せた。

そうそうたるキャスト陣の中、若手の毎熊が抜擢されたのには理由があった。それは、2017年2月に行われた毎日映画コンクールの授賞式でのこと。

壇上で受賞スピーチをしていた毎熊に、本作で製作総指揮をつとめた東映の岡田裕介会長が「目力がある」と惚れ込み、式の場で自らオファーしたというのである。岡田会長に絶賛された毎熊の鋭い“眼力”はその後もさまざまな作品で真価を示し、パルムドール受賞作の『万引き家族』をはじめ、『空飛ぶタイヤ』『終末の獣たち』『純平、考え直せ』で見せた名バイプレーヤーぶりが大きな話題となった。

『真っ赤な星』テアトル新宿ほか全国順次公開(C)「真っ赤な星」製作委員会

さらに、今秋には『夜明けまで離さない』『止められるか、俺たちを』にも出演。また、サタミシュウの官能小説を原作としたシリーズの続編『私の奴隷になりなさい 第2章 ご主人様と呼ばせてください』『私の奴隷になりなさい 第3章 おまえ次第』では、妻を持ちながらも何人もの女性を奴隷として飼う“ご主人様”の目黒役で快演をみせる。

毎熊は目黒役で、女性たちとの過激な濡れ場を披露したばかりか、人妻をナンパしたり、「渚のシンドバッド」に合わせて女性のお尻をたたくSMプレイにも挑戦した。シャープな顔立ちと硬派な雰囲気が見事にハマった役どころであったが、当の毎熊はインタビューで実際には奥手で、知り合いの女性ですら食事に誘えないほどだと告白している。

今年一年を締めくくる師走には『真っ赤な星』『新宿パンチ』と2本の出演作がともに12月1日に公開と、乗りに乗った活躍を見せる毎熊。2019年は、どんな作品で毎熊の演技を見られるだろうか。

ブレーク前には、引っ越し業者などのバイトをしていたこともあったという毎熊。バイト時代には、“役者の道を諦めて社員にならないか”と誘われることも少なくなかったそう。しかし、映画が好きという気持ちを失うことなく、役者街道を邁進。その努力が、現在の活躍につながった。今後もその活躍から目が離せない。

(文/ナカニシハナ)