タイの刑務所に収監されたイギリス人ボクサーの実話を映画化した『暁に祈れ』から、徹底したリアリティーで描かれる、過酷で残酷な刑務所生活の実態を捉えた特別映像「実録!タイの刑務所24時」が公開された。

 本作では、ドラッグ中毒の末にタイの刑務所に服役し、ムエタイとの出会いをきかっけにのし上がっていったイギリス人ボクサー、ビリー・ムーアの自伝小説を完全映画化。地獄といわれる刑務所の描写は、ドキュメンタリー映画のようにリアルで、全身刺青だらけの囚人たちも本物にしか見えないが、それもそのはず、監督のジャン=ステファーヌ・ソヴェール(『ジョニー・マッド・ドッグ』)は撮影にあたって、かつて刑務所として使われていた場所をロケ地に選び、服役経験を持つ素人を囚人役に起用したのだという。

 映像では、不衛生な環境で、上半身裸の囚人たちがすし詰め状態で床に寝ころび、時には隣の囚人がすでに死体となっていることもある、ほほ笑みの国として知られるタイの過酷な刑務所の”実態”が明らかに。囚人同士の殺人や看守による汚職が横行する、一歩間違えば死が待ち受けるムショ生活の一端が映し出される。

 ソヴェール監督は、起用した囚人役の俳優たちに、刑務所内での経験を語ってもらうワークショップを行い、それを劇中のエピソードとして盛り込んだ。本作の描写は、全てが“本当にあったこと”なのだ。

 一方、そんな獄中で必死に生きる主人公を演じたのはイギリスの新星ジョー・コール。その熱演に対して、本年度の英国インディペンデント映画賞から主演男優賞が送られたが、授賞式の壇上で「僕はリラックスして演技に取り組むことが多いんですが、この映画では違いました。撮影が終わって、やっと帰りの飛行機に乗れたときは最高に嬉しかったです」と語るなど、現実のビリー・ムーアと同じ過酷な環境を生き抜いたかのような、感慨をのぞかせている。(編集部・入倉功一)

映画『暁に祈れ』はヒューマントラストシネマ渋谷&有楽町、シネマート新宿ほか全国順次公開