大泉洋主演による、車椅子生活ながらも自由に生きた男性と、彼を支えたボランティアたちの実話を基にした映画で、葛藤を抱える医大生を演じた三浦春馬。本作を経験して得られたことや、もうすぐ30代を迎える自身のこれからについて語った。

温かい配慮に感動

Q:大泉洋さん演じる難病で車椅子生活の鹿野が主人公の映画ですが、メッセージ性のある作品ですね。

完成したものを観てとても感動しました。充実した撮影現場で、手応えは感じていましたが、それ以上に良い作品になったと思います。僕の演じた不器用で空回り気味の田中をはじめ、それぞれの事情を抱えたボランティアたちが鹿野さんとの関わりで成長していく姿は、きっと共感してもらえると思います。

Q:大泉さんとは初共演ですが、ご一緒された感想は?

役者として素晴らしい方でした。もちろん芝居も素晴らしいと思うんですけど、一番見習わなければいけないと思ったのは、撮影現場での居方です。共演者やスタッフに対しては当たり前で、エキストラさんたちへの温かい配慮にも感動しました。貴重な時間をさいて協力してくださったボランティアの方々に、大泉さんは欠かさずごあいさつをされていた。細やかな方だと思いました。

Q:大泉さんと三浦さんは、どんなふうにコミュニケーションを取られましたか?

大泉さんは減量が必要だったので、(高畑)充希ちゃんと3人で「バナナ部」というのを作って、ランニングをしていました。3人一緒に走れることはあまりなかったですが、一緒に走れるときは走りながらいろいろ話しました。

Q:お芝居のことをたくさんお話になったんですね。

いえ、申し訳ないですが、芝居の話をした記憶は一切ないです(笑)。たわいない話ばかりしていました。充希ちゃんともそうです。でも、そういう感じが良かったんだと思います。大泉さんはロケ地の北海道が地元だったので、減量しなきゃいけない中でもおいしいご飯屋さんに連れて行ってくださいました。

さらけだすことの重要性

Q:ご自身の印象的だったシーンはどこでしょうか。

充希ちゃん演じる美咲と言い争ってしまう病院の屋上のシーンは印象深いです。恋人である美咲はみんなと仲良くやれているのに、自分はうまく立ち回れない。そんな葛藤や感情の起伏を、監督や充希ちゃんと話し合いながら作っていきました。あとは、みんなでフェスに行って、ジンギスカンを食べるシーンは、撮影を超えて楽しかったです。

Q:この作品からご自身が一番強く感じたことは?

考えさせられたことは多かったです。特に、人と人との関わり合いについて。普通、他人と関わるときは見えない壁を作ってしまいますけど、鹿野さんのボランティアをする場合は介護という形になりますから、遠慮しているとお互いがもたない。さらけだすことの重要性がわかりました。そうすると、見えない壁がなくなって、人と人が本音で話し合えるようになると思います。

Q:介護とかボランティアとか、そういうことを超えた人間同士のつながりですね。

そうです。よく「迷惑をかけちゃいけない」と親や大人に言われますよね。でも、「迷惑」って言葉自体が、嫌な響きだなって思います。困ったときは人に頼ればいいし、頼られたら誠実に応える。そういう素敵なことをちゃんと示してくれる、メッセージがちりばめられていると思いました。

今が働き時

Q:ご自身は、難病で体の自由がきかなくなる役を演じられたり、ドラッグクイーン役で女装姿を披露されたりと、チャレンジングな活動をされています。この先もそれは続けられますか?

もちろん。面白いと思った役どころがあれば、どんなに突出した派手なものでも挑戦してみたいと思います。境目を決めずに、ミュージカルでもストレートプレイでもテレビドラマでもネット配信のドラマであっても、自分が面白いと思うもの、視聴者のみなさんが面白いと思ってくれるものに、携わっていきたいと思っています。

Q:ご自身が現在興味を持っているジャンルは?

特にはないです。流されたくはないですけど、周りの意見もきちんと取り入れて決めていきたいと思います。まあ、「スタッフのおかげでうまいこと高めてもらっているなぁ」と思うこともありますけど(笑)。

Q:20代も後半ですが、男としてはこの先どう生きていきたいですか?

一人の男としては、楽しくやっていきたいです。30歳に向けていい仕事をしたいですし、30代になっても重宝していただけるような俳優だと見せていかなきゃいけないと思っています。今が働き時です。

Q:20年以上俳優業をされていますが、やめたいと思ったことはないですか?

何回かありました。でも、結局はちゃんと立ち上がって続けているということは、やっぱり好きなんでしょうね、この仕事が。基本的には、マネージメントや心を許せる友人、そしてもちろん、ファンの方たちや演出家やプロデューサーといった僕を気に掛けてくれる人たちの存在は大きいです。その期待や、必要としてくれる声が、俳優を続けていく支えになっています。

取材・文:早川あゆみ 写真:日吉永遠