話題作『アクアマン』(2019年2月8日 日本公開)で悪役ブラックマンタを演じた注目の黒人俳優ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世が、同作について12月19日(日本時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。

 海底王国アトランティスの末裔(まつえい)で、人間として育てられたヒーロー・アクアマン(ジェイソン・モモア)が主人公の本作。人類を上回る文明を持つアトランティスの強大さを知る彼は、アトランティスが人類の支配を目的とした侵略を始めたことを知り、海を守るべきか地上を守るべきかの選択に迫られる。映画『ソウ』『インシディアス』シリーズを手掛けてきたジェームズ・ワン監督がメガホンを取った。ヤーヤはデヴィッド・ケインことブラックマンタを演じている。

 アクアマンの宿敵ブラックマンタをオファーされたヤーヤは、最初にコミックを読んだとき、正直演じたくなかったという。「だって彼は、ヘルメットを装着しているから、僕の顔は見えないだろう……(笑)。でも、かなりクールなキャラクターで、ヘルメットやコスチュームを取るシーンもコミックには描かれていたから、これなら俳優として関わることができると思ったんだ」

 また、劇中でそれぞれのキャラクターの背景がしっかり描かれていることについては「僕は単に悪役を演じるつもりはなかったし、もしそうしていたら、(ありふれた悪役という)落とし穴にはまっていたと思うんだ。僕自身は、観客が(アクアマンよりむしろ)ブラックマンタを支持して映画館から出てくるように演じたかったからね。ブラックマンタはごく普通に問題を抱え、それを解決しなければいけない状況下に置かれる。そして苦境に立たされ、復讐(ふくしゅう)を誓うことになる。だから完全に悪いやつではなく、自分の主張が正しいと信じている人物でもあるんだ」と説明した。

 今作のために2か月ものトレーニングを行ったというヤーヤは「コスチューム自体がおよそ70ポンド(約31.7kg)もあって、それを着られるように僕自身は約15ポンド(約6.8kg)も体重を増量したんだ。実際に装着してみると、最初の10分間は体を調整するために苦労したけれど、すぐに走ったり、壁にぶつかったりできるようになったよ。ただ、(ヘルメット上のブラックマンタの)目に関しては、100%完全に見えている状態じゃないんだ。もし(コスチュームの中に入っている)僕が真っすぐ前を見ていたら、映画内の映像ではブラックマンタが見上げているように見え、僕自身が見上げたら、ブラックマンタは後ろを見ているように見える。だから、僕自身はほぼ下を見つめている状態にすると、ようやくブラックマンタが真っすぐ前を見つめているように見えるんだ」と苦労を明かした。

 完成した作品をつい1週間前に鑑賞したばかりだというヤーヤは「壮大なスケールで描かれている素晴らしい映画で、テクノロジーが驚異的に発展したことで、われわれがどれほど(技術的に)うまく製作できたかを、じっくり鑑賞できる作品でもあるんだ。もし5年前、あるいは10年前に『アクアマン』を手掛けていたら、(技術的に)製作できなかったと思う。だから今作の鑑賞は特別なものだったし、あえて長い間待って鑑賞してみたんだ」と自信をのぞかせた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)