伊坂幸太郎のベストセラー小説を、中村義洋監督が堺雅人を主演に迎えて映画化した映画『ゴールデンスランバー』(2010年)。その韓国版リメイクが、まもなく1月12日より日本公開される。主演を務めているのは、韓国の人気実力派俳優カン・ドンウォン。日本版とは異なる独自のアイデアと、超ド派手なアクションシーンが随所に盛り込まれた、極上のエンターテインメントに仕上がっている。 

日本版との最大の違いはラストシーンにあり!

物語の主人公は、カン・ドンウォン演じる宅配ドライバーのキム・ゴヌ。配達の途中に人気女性アイドル歌手を助けたことから一躍国民的ヒーローになるが、久しく会っていなかった高校時代のバンド仲間と再会した途端、目の前で次期大統領有力候補者が爆破テロによって暗殺され、なぜか暗殺犯に仕立て上げられてしまう……といったストーリー。

大まかな設定は原作と同じだが、韓国版では主人公が国家の陰謀に巻き込まれていく過程がド派手なアクションと共にサスペンスフルに描かれ、かつてのバンド仲間や、組織に恨みを抱く人物との連帯の色も、日本版に比べてより一層色濃くなっている。

なんと言っても最大の違いは、主人公が無実の罪を自ら証明しようとするところ。替え玉とのスリリングな対決シーンや、排水路を使った大規模な仕掛けなど、韓国版ならではの見どころが随所に用意されており、ソウルを舞台としたリアルな展開に釘付けにならずにはいられない。

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スタイル抜群のドンウォンが、5キロ増量してお人好しの青年を好演

もともとモデル出身で、パリコレ出演経験もあるスタイル抜群のドンウォンだが、本作では役作りのために5キロ増量し、お人好しで騙されやすいピュアな主人公を好演。逃走シーンを演じるために150時間ひたすら走り続けたばかりか、替え玉との一人二役を務め、バンド演奏や歌まで披露しているのだ。

過去には刺客や死刑囚、工作員、超能力者、司祭、詐欺師など、インパクトのある役柄を演じることが多く、日本でもいわゆる韓流ブームの頃からアイドル的な人気を誇ってきたドンウォン。

今年日本でも公開され大いに話題となった『1987、ある闘いの真実』(2017年)では、民主化運動で命を落とした実在の大学生に扮し、迫真の演技を披露。30代半ばでも大学生役を違和感なくこなせるのもさすがだが、この作品によってドンウォンの確かな演技力を痛感させられた人もきっと多いはずだ。

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次はハリウッド映画にも主演

実は、ドンウォンの最大の武器は、紛れもないスターであるにも関わらず、平凡な青年役が嫌味なく演じられるところにある。デビュー作となった『彼女を信じないでください』(2004年)で演じた、三枚目とも言えるコミカルなキャラクターが、いまや彼自身の魅力として定着しているのだ。

本作ではまさにその真価が発揮されていると言える。2019年には自身初となるハリウッド映画でも主演を務めるドンウォン。『ゴールデンスランバー』は、“平凡すぎる”キャラクターとして、彼がどんな役でも自在に演じられるということを証明した、記念すべき1本に成り得るに違いない。

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ほぼ全編にわたってソウル市内のド真ん中で大規模なロケが行われ、わずか4時間だけ撮影許可がおりた光化門では、入念な準備のもと一発勝負で大迫力の爆発シーンが撮影された韓国版『ゴールデンスランバー』。原作に対する思い入れが強い人はもちろん、日本版の映画ファンにとっても、きっと大いに楽しめること請け合いだ。

(文/渡邊玲子@アドバンスワークス)