新作映画『ファースト・マン』(2月8日公開)のデイミアン・チャゼル監督が昨年9月にアメリカ・フロリダ州にあるケネディ宇宙センターで行われた取材イベントでインタビューに応じ、今作と彼のヒット作『ラ・ラ・ランド』(2016)に共通するテーマについて語った。

 『ファースト・マン』は人類初の月面着陸に成功したアポロ11号の船長ニール・アームストロングの伝記ドラマ。アームストロング役は『ラ・ラ・ランド』でもデイミアン監督とタッグを組んだライアン・ゴズリングが担当している。

 無地のTシャツに黒のジーパンというラフな服装で取材場所にやってきたデイミアン監督。「月に人類が立ったということ、その時の映像とかはみんな知っているけど、歴史的に『大きすぎて』自分とかけ離れた出来事と思ってしまう部分がある。そんな偉業の人間的な部分に光をあてることで身近なものにしたんだ。ニールが何を感じていたのか、ニールだけでなく彼の家族が何を思っていたのかなど、これまで伝えられていなかったことを描いた」と作品について紹介した。

 世界を魅了したミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』と今回の『ファースト・マン』は、同じ監督の作品とは思えないほどジャンルが異なり、33歳にして世界のトップを走るデイミアンの映画監督としての振り幅の大きさを示している。デイミアンは「『ラ・ラ・ランド』とはちがう筋肉、頭のちがう部分を使ったよ」と笑う。

 「それでも、『夢を追いかけている人』の物語という部分では共通点がある。夢を追い求めるということと、そのことの過酷さ。『ラ・ラ・ランド』とは別の方法で今回はそれを伝えようとしている。映画の主題はちがうかもしれないが、前作の延長という感覚もあったんだ。『夢を追う』ということを単に美化し、ロマンチックにするのではなく、その行為にともなう感情面、物理面、精神面での犠牲を見せるというのは『ラ・ラ・ランド』だけでなく『セッション』とも共通している」。

 『セッション』で鮮烈なインパクトを世界に与え、『ラ・ラ・ランド』でアカデミー賞監督賞に輝いたデイミアン監督には多くの人が注目している。「2作品の成功がプレッシャーになることは?」という質問には「もちろんプレッシャーは感じる」としつつ、「同時に自分はとてもラッキーだと思う。自分が情熱を持って取り組める映画という仕事ができているから。映画に恋していなかった時が思い出せないくらい僕は映画が好きなんだ」と語った。(編集部・海江田宗)