日本でK-POPブームを巻き起こしたパイオニア的グループ、少女時代。そのメンバーであるスヨンが、よしもとばなな原作の日韓合作映画『デッドエンドの思い出』(2月16日公開)で、長編映画初主演を飾った。少女時代結成前に日本で芸能デビューしているだけに「日本は自分にとってのオリジナル舞台」と喜色満面のスヨンが、改めて日本での少女時代ブームを振り返る。

デッドエンドの思い出 スヨン インタビュー

少女時代ブームは今振り返っても凄いこと

2009年に本国で発表したシングル「Gee」が大ヒット。翌年に日本で発売された日本語版が決定打となり、「第52回日本レコード大賞」「第25回日本ゴールドディスク大賞」で新人賞を獲得するなど、少女時代は日本でのK-POPブームを牽引する存在となった。そこからさかのぼること数年前、モーニング娘。を輩出した人気オーディション番組「ASAYAN」から誕生した日韓デュオroute0で芸能活動をスタートさせた経緯のあるスヨンにとっては、原点の地・日本での少女時代ブレイクは念願だった。

「SMAPのみなさんが『Gee』の衣装を着て踊っている姿を見たときは、“おおお!”と本当に驚きましたし、『ASAYAN』でお世話になった岡村隆史さんをはじめ、著名なお笑い芸人の方々が“少女時代が好きだ”と言ってくださったり……。紅白、Mステライブ、東京ドーム公演、今振り返っても凄いことだと思います」とシミジミ。

それから約10年。エンターテインメント業界を取り巻く時代の変化もあり、当時とは違う感慨も生まれている。「10年前はSNS文化が成熟していなかったので、スターは音楽やテレビの中から生まれるものでした。でも今では誰もがセレブになれる時代で、娯楽も細分化。ですから少女時代のようにデビューアルバムが100万枚突破し、国中がその人気に沸くというブレイクのしかたは、もうできないのではないかと思います」。時代という追い風もブレイクを作り上げた要因の一つだと捉えている。

元KARA・知英との共演も希望

女優として再び日本に凱旋したスヨンが演じるのは、婚約者に裏切られた韓国人女性のユミ。名古屋のとあるカフェにたどり着き、周囲の人々に癒されていく。日本語セリフ初挑戦も「少女時代のデビューよりも前に芸能人としてデビューしたのが日本だったので、日本に縁があるというよりも、日本は自分にとってのオリジナル舞台。日本で活動できるという夢が叶った」と喜びの方が勝った。

日本での女優業には、少女時代のメンバーも背中を押してくれて「私が日本で本格的に活動したいということはメンバーも知っているので、見守ってくれています。少女時代はお互いのソロ活動をそれぞれが応援するスタンスなんです」と絆を強調する。

デッドエンドの思い出 スヨン インタビュー よしもとばなな

日本で芸能活動をスタートしたこともあって、日本語も流ちょう。インタビューのほとんどを通訳者を介することなく、またわからない日本語があると手元のノートに書き記すなど、かなりの努力家で勉強家。そんなスヨンがリスペクトしているのが、少女時代と同じ時期にK-POPブームを盛り上げ、現在は女優として日本で活動している元KARAの知英だ。

「異国で活動する悩みや難しさもあると思うけれど、その壁を乗り越えて今までやってきたことに対して、同じ時代に活動した同志として拍手を送りたいです。私は韓国で女優や歌手、タレントとして活動していますが、彼女は日本での活動に集中している。それは本当にすごいこと。いつか女優として共演してみたいです」と戦友にラブコール。

スヨンも日本での活動に前向きで「昔から日本の作品を見ながら日本語を覚えたり、日本の俳優さんに憧れたり、監督のファンになってきたので、どんなことにでも挑戦していきたい。オファーがあれば何でもやります!」。オリジナル舞台の日本で、今度は女優として羽ばたく構えだ。

(取材・文 石井隼人)