映画『タイタニック』(1997)、『アバター』(2009)などのジェームズ・キャメロンが、自ら脚本とプロデュースを務めた『アリータ:バトル・エンジェル』の2月22日公開を前に、日本向けに生中継会見を行い、実写化を熱望し続けた原作やキャラクターへの思いを語った。

 漫画家・木城ゆきとの人気コミック「銃夢」を原作に、圧倒的な戦闘能力を持つサイボーグ少女アリータの、失われた記憶をめぐる戦いを描いた本作。キャメロンは、自らメガホンを取らなかった理由について「実は、この作品と『アバター』は当時、プロジェクトが同時に進行していたのです。そこで先に世に出ることになった『アバター』が大ヒットし、続編を撮ることになったため、どうしても『アリータ』に取り掛かることができなかった」と明かす。

 そんなとき、本作のメガホンを取ったロバート・ロドリゲス監督から『アリータ』の状況を聞かれたキャメロンは「監督をやってみるか?」と、まだ未完成の長大な脚本を手渡したという。それを読んだロドリゲス監督の圧倒的な情熱を目の当たりにしたキャメロンは、メガホンを託すことを決意。完成した作品について「ロバートのスタイルになっていて、そうあるべきだと思っています。完璧なコラボレーションができたと思うんです」と大満足の一方で「本当は私がやりたかったのですが、いまのスケジュールだと、あと20年はかかったでしょうね(笑)」とジョークを交えて本音を垣間見せた。

 ロドリゲス監督には「あなたのスタイルで作りなさい」とアドバイスを送ったというキャメロンは、現場にも1度しか足を運ばなかったという。「キャストやスタッフにこれはロバートの映画なんだよということを明確にしたかったし、彼にバトンを渡したんだと言いたかったし、彼にすべてのクリエイティブな権限を渡したということをわからせたかった。プロデューサーはそうあるべきです。自分が信頼している監督だったらね」

 キャメロン自身、日本の漫画・アニメへの関心は高く、押井守や大友克洋の大ファン。原作の「銃夢」への思い入れも強く、「主人公のキャラクターに魅了されました。正義感があり、内面的な強さもある。当時、私の娘も若かったのですが、この漫画は若い女性に力を与えられると思った」と述懐。「キャメロン家では日本の文化はファミリーカルチャーになっています」と明かした。

 また本作は、主人公アリータの目の大きさも話題になったが、それも原作を大事に思うからこそ。「木城先生の描いたものを踏襲したデザインで、わたしもロバートも大きな目が気に入っていました。リアルじゃない女の子を意識していたのですが、CG技術の進歩で、本当に生きているように見えるんです」とビジュアル面での狙いを語る。

 さらに、報道陣から「『タイタニック』へのオマージュを感じられるシーンも見受けられた」と投げかけられると、「僕はラブストーリーが大好きなんです。アリータは、はじめは思春期の若い女性であり、若い恋人同士の物語が描かれる。さらに成長した女性となり、父と娘の物語が展開する。この二つのラブストーリーがあると思っています」と述べていた。
 
 またこの日の会見では、原作者の木城も同席。すでに完成した作品を観たという木城は「素晴らしい映画を作っていただき感動しました。特に冒頭のシーンでは、キャメロンさんならではの映画の世界に引き込まれました。構成は原作とは違いますが、映画的にまとまっていて素晴らしかった」と絶賛していた。(磯部正和)