【町田雪のLA発★ハリウッド試写通信 ♯22】
「LA発★ハリウッド試写通信」では、ロサンゼルス在住のライターが、最新映画の見どころやハリウッド事情など、LAならではの様々な情報をお届けします。

情熱から始めた映画祭を20歳まで育て上げたベテラン俳優に、世界を魅了し続ける女性監督とこれから世界へ羽ばたく映画監督。日本での成功を夢に乗せて米進出に挑む人気グループと、そんな彼らを応援する天才ミュージシャンたち。去る1月17日、日本のエンタテインメント界が誇る表現者たちが、雨のハリウッドに集った。

舞台は、アジア最大級の国際短編映画祭ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF&ASIA)の20周年を記念し、ハリウッドで行われた一夜限りの映画祭「ショートショートフィルム フェスティバル in Hollywood」。

「ショートショートフィルム フェスティバル in Hollywood」会場
Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

SSFF&ASIAと、外務省による日本文化発信拠点ジャパン・ハウス・ロサンゼルスが主催し、日本国総領事館が共催したものだ。

今月末にアカデミー賞授賞式が開催されるドルビー・シアター横のTCLチャイニーズシアターにて、上映作品監督の1人でもある河瀨直美監督によるマスタークラス、4本の短編作品の上映、同映画祭が名誉賞を授与した『JUNO/ジュノ』(2007年)『マイレージ、マイライフ』(2009年)のジェイソン・ライトマン監督の表彰が行われた。

さらに、EXILE TRIBEの楽曲をテーマにした短編映画プロジェクト「CINEMA FIGHTERS」第三弾で、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの今市隆二が『トイレのピエタ』(2015年)の松永大司監督とタッグを組み、演技デビューを飾ることも発表された。

左からEXILE AKIRA、ジェイソン・ライトマン監督、別所哲也、小林直己(三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)
Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

きっかけはショートショート フィルムフェスティバル & アジア20周年!

米アカデミー賞の公認映画祭にも選ばれているSSFF&ASIAの生みの親である俳優・別所哲也は、「映画祭が生まれたきっかけも、俳優としてのデビューも、妻の出身地もロサンゼルス。自分の子どものような映画祭が成人式を迎えるにあたり、その集大成として、この地で特別な上映を行えることに感謝している」と感無量。

『13デイズ』(2000年)などのロジャー・ドナルドソン監督と握手する別所哲也
Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

同映画祭の今後について、「(EXILE HIROがけん引する)LDHの皆さんや、河瀨監督、松永監督のように、世界に向けてさまざまな表現をする情熱をお持ちの方々と、今ご一緒できていることが、ここからの新たな10年、20年のスタートだと思う。これからも、ロサンゼルスと東京で、エンタテインメントの世界をとおして、つながっていきたい」と抱負を語った。

EXILE HIRO
Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

カンヌ映画祭でのカメラドールやグランプリ受賞をはじめ、世界で賞賛を受け続ける河瀨監督は、現地学生やフィルムメイカーらに向けたマスタークラスで、「探求心と謙虚さ、ハングリーであり続けること」の大切さを強調。その姿勢で活動し続けながら、世界進出に挑む別所、HIROらに向けて、「ハングリーにやり続けてきたその魂が、ここから先、どのような種を植えて、芽を出し、花開くのか、今日を始まりの日としてお祝いしたい」とエールを送った。

河瀨直美監督によるマスタークラス
Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

また、同映画祭の上映作品の1つ『カナリア』(TAKAHIRO主演)を手がけ、今年からLAを拠点に、今市主演作などに取り組む松永監督は、米国における日本映画の立ち位置について、「一般の人々にとっては、黒澤(明)監督などの映画で終わっていると思う」と分析。「日本には、まだまだ若い才能や、夢を持ってトライしたいと思っている監督やアーティストがたくさんいるので、(同映画祭のような機会が)希望や挑戦するチャンスを得られる場になると思う。自分も子どもの頃にアメリカ映画が好きで映画に関わりたいと思ったので、ここでいろいろなことに挑戦していきたい」と意気込みを述べた。

TAKAHIRO主演、松永大司監督『カナリア』

さらに、同映画祭のアンバサダーに就任し、それぞれハリウッドデビューも果たしているEXILE AKIRAと三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのリーダーの小林直己、まもなく演技デビューを飾る今市、彼らが所属するLDH JAPAN会長でLDH WORLDチーフ・クリエイティブ・オフィサーのEXILE HIROも、そろって出席。米進出への想いを語った。

挨拶をするEXILE AKIRA、小林直己(三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)
Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

AKIRAは、「日本には黒澤明監督や三船敏郎さんなど、スティーヴン・スピルバーグやマーティン・スコセッシらが尊敬するような監督や俳優が存在した。自分たちももっともっと精進し、世界に挑戦する活動をしながら、日本の魂を俳優としてもお届けできたら」とスピーチ。

Netflixのオリジナル映画『アースクエイク・バード』に出演した小林は、同作品のテーマやSSFF&ASIAの存在をとおして、「言語や文化が違っても、人と人とは必ずつながれると気づいた。世界共通の言語である映画やエンタテインメントは、ボーダーを超えてつながっていくうえで、とても大きな手段。1人の表現者としてこれからも成長していきたい」と決意を新たにした。

小林直己(三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)とEXILE AKIRA
Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

EXILE AKIRA、この人に「ボコボコにいじめられ」たい!?

そんな2人と今市に、改めて「ハリウッドの監督や俳優で、一緒に仕事をしてみたい人は?」と聞いてみた。

口火を切ったEXILE AKIRAの答えは、「僕にとってハリウッド映画というと青春なので、“この人”とは言いきれないのですが、これは本当に立てる意味ではなく、いつか河瀨さんに撮っていただきたい。ボコボコにいじめられて(笑)、僕の代表作を作っていただきたいです」。このラブコールに河瀨監督は驚きつつも、「じゃあ、一緒にハリウッド進出しましょう!」と心強いレスポンスで応じた。

EXILE AKIRA
Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

次の小林は「(レオナルド・)ディカプリオです」と明言。「大ファンで、ほぼ全作、観ているのですが、あれだけの大スターで、世の中に影響を与えていながら、もがいている役がすごく多いなと思います。人種も国も言葉もまったく違う自分ですが、とても励まされた経験があるので、いつか会って伝えたいと思っています」。

三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのリーダー、小林直己
Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

最後の今市は、「そうですね……ブラッド・ピットで」と会場を沸かせたのちに、「日本のアーティストが海外の作品でコラボすることもいいと思いますし、逆に日本の作品に海外の楽曲が使われるようなコラボも世界につながるツールになると思います」とジャンルを超えた異文化コラボレーションへの期待を込めた。

今市隆二(三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)
Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

LDH、米拠点を通して米国展開を本格化

HIROには、そんな彼らが所属するLDHの米拠点を通して、米国展開を本格化することについて、今後の抱負を聞いた。「日本とかアメリカとか関係なしに、エンタテインメントには言葉でなくても伝わることがあると思います。これからは、ヨーロッパやアメリカ、日本、アジアの皆と交流を持ち、そこで生まれた人ありきのアーティストや作品をどんどん生み出していきたいです」。

今年1月、LDHが運営するエンタテイナー育成スクール「EXPG」のハリウッド校がオープンした。HIRO自身にとって、同地はどのような場所なのだろうか?「ロサンゼルスはダンスをやっている頃から好きで、ハリウッド作品も大好き。いろいろなクリエイターやミュージシャンが集まり、インスピレーションを受ける特別な場所です」。

ハリウッド進出の先人、YOSHIKIとMIYAVIの本音

そんな彼らを応援すべく、ハリウッド進出における日本人アーティストの先人であるYOSHIKIとMIYAVIも来場。

YOSHIKIは「ハリウッドに住んで25年以上になるのですが、今回の映画祭に限らず、こうして日本のカルチャーを発信できる場所があることはうれしい」とコメントし、「やっぱり、ロサンゼルスって1人だと寂しくなるタイミングってあると思うんで……」という意外な本音も聞かせてくれた。

YOSHIKI
Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

一方、ミュージシャンとしてはもちろん、アンジェリーナ・ジョリー監督作『不屈の男 アンブロークン』(2014年)出演をきっかけに、俳優としても国際舞台で注目を浴びるMIYAVIには、米進出をするLDH、EXILEメンバーたちへのアドバイスを聞いてみた。

「日本にいるとなかなか感じにくいと思うのですが、地球の上に僕たちは生きていて、日本もそのなかのひとつの国であるということを、もっと意識していかなくちゃいけないと思います。それは映画だけではなく、政治もスポーツも、教育も語学もそうだし、本当の意味でグローバリゼーションをしていくなかで、僕たちエンタテインメントの人間ができることはたくさんあると思うので、がんばってほしいですし、お互いがんばっていきたいなと思います」。

MIYAVI
Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

アジアや日本のコンテンツや才能への扉がより開き始めている米映像界で、日本のアーティストたちが夢を語り、励まし合う姿に期待が膨らむ1日だった。