取材・文=平辻哲也/Avanti Press

「ScreenX」をご存知だろうか? 左右のスクリーンと合わせ、3面マルチスクリーンで270度の視界を実現した韓国発のシステムだ。最近では2018年No.1ヒット作『ボヘミアン・ラプソディ』ScreenX版での臨場感あるライブシーンが話題になった。そんなScreenXを、3月15日に初日を迎えたハリウッド大作『キャプテン・マーベル』で初体験してきた。

どこで観られる?体感型上映システム「ScreenX」

「ScreenX」は2012年、韓国の映画会社「CJ CGV」が開発した世界初の3面マルチ上映システム。現在、アメリカ、フランス、スイス、イギリス、中国など全世界17カ国で展開。そのスクリーン数は200を超え、ハリウッドの娯楽大作などの上映で人気を集めている。

日本では2017年7月、「ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場」をスタートに、石川県の「シネマサンシャインかほく」、山口県の「シネマサンシャイン下関」、福岡県の「ユナイテッド・シネマ 福岡ももち」の国内4劇場で体感できる。(※2019年3月19日現在)

ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場 ScreenXシアターの入り口 撮影=平辻哲也

出かけたのは、首都圏唯一の設備を持つ「ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場」だ。専用シアターは一見、普通の劇場とは変わらない。よく見ると、左右の壁部分は後方まで白色のスクリーンになっており、天井近くには左右4台のプロジェクターが配置されているのが分かる。席は「真ん中より、やや前方」が好みだが、真ん中よりもやや後方を陣取った。

ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場 ScreenXシアターとプロジェクター 撮影=平辻哲也

まず、「ScreenX」のデモ映像にビックリ。ヨーロッパ風の町並みを歩く少女。持っていたトランクから光るキューブを取り出し、覗くと、左右のスクリーンにも映写がスタートし、「ScreenX」の世界が始まるという趣向。

アクション映画を切り取った場面をストップモーションでさまざまな方向から見せ、さらには、街の中に太陽系の惑星たちが現れ、その中をカメラがすり抜けていく……。3面映像に囲まれた中で、カメラが動くと、まるで遊園地のアトラクションに乗っているような感覚。車酔いしやすい人は、やや注意が必要かも。それくらい没入感が半端ないのだ。

いよいよ『キャプテン・マーベル』拝見!

『キャプテン・マーベル』(C)Marvel Studios 2019 All rights reserved.現在公開中

そんな興奮冷めやらぬうちに、本編へ。『キャプテン・マーベル』は、マーベル史上最強といわれるキャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン)が主人公で、ヒーロー集団「アベンジャーズ」結成前が描かれる。過去の記憶を失っている彼女は戦いの最中、90年代の米ロサンゼルスに降り立ち、「シールズ」のエージェント、ニック・フューリー(サミュエル・L.ジャクソン)と出会う中、自身の過去とパワーの秘密を知る……という展開だ。

『キャプテン・マーベル』のScreenX版は始終、3面スクリーンで上映されるわけではない。正面のスクリーンだけの時もあれば、左右のスクリーンも展開される時もある(そういえば、『ダークナイト ライジング』のIMAX版もドラマパートは通常サイズ、アクションではIMAXサイズに切り替わった)。

とはいっても、3面スクリーンでの上映は冒頭からふんだんにある。三方を映像で包まれると、臨場感、没入感は半端ない。よく見れば、後方の投写には歪みもあるが、気にはならない。目を動かさない時の人間の視野は100度程度だそうで、さすがに270度までは認知できないからだ。要は映像に包まれる雰囲気が大事なのだろう。

「ScreenX」での見どころは、空軍の秘密基地にある資料室で、繰り広げられる緊迫の戦闘シーン、戦闘機での空中戦など数知れず。空間の広さが重要となる場面の没入感は、普通の映画の比ではない。

主人公の主観で描かれる場面では、自分自身がその場にいるような緊張感があり、空中戦では、戦闘機に乗っているようなスリルが味わえる。やはり、アクションシーンの多いハリウッド大作は、より映像に迫力が増す。

「ScreenX」をより楽しむポイントは?

大塚達徳支配人 撮影=平辻哲也

ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場の大塚達徳支配人にも話を聞いた。

Q.3面スクリーンになる時間はどのくらいですか?

「作品によりますが、2時間くらいのアクション映画の場合、4分の1くらいです」

Q.オススメの席はどの辺りですか?

「個人の好みによりますが、3面包まれている感覚を味わいたいという方には後方の中央席をオススメします。より没入感を味わいたい方は真ん中辺りがいいと思います」

Q.これまでのヒット作は?

「オープニング作品の『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(2017年)がダントツで、『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年)、『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(2018年)の順です。単発では『BIGBANG MADE ScreenX』(2018年/BIGBANGデビュー10周年記念ライブ映画)も入りました」

Q.オープンから1年8カ月ですが、手応えは?

「お客様からの『没入感がすごい』という感想はいただいていますが、正直、認知はまだ足りないのかなと感じています。何回かご覧になっている方が足を運ばれるようです。最初からScreenXで観られるというお客さんはそんなに多くないのでは、と感じています。もう少し劇場の数が増えていけば、認知度も上がると思うのですが……」

Q.首都圏唯一のScreenXというのは売りだと思うのですが、難しさもあるんですね。

「そうなんです。当館には4DXもありますが、導入当初は認知が足りなかった部分もありましたが、館数が増えてくると、上映作品も増え、お客様も増えていきました。ScreenXも同じようになっていくことを期待しています」

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体感型の上映システムには「3D」に加え、シーンに合わせて、匂いを感じたり、雷鳴がフラッシュしたり、水が吹き付けられ、シートが動き、遊園地のアトラクションのような感覚を味わえる「4DX」&「MX4D」。より広いスクリーンで3Dを体感できる「IMAX」。さらに超高解像映像と高密度サウンドを実現した「IMAXレーザー」などがある。

念のため、同じ週末、『キャプテン・マーベル』の「IMAXレーザー3D」版も観てみた。「IMAXレーザー3D」は大画面に奥行きのある映像に加えて、12chのデジタル音響で包み込まれるのに対して、「ScreenX」は映像そのものが包み込むような感覚。どちらも没入感、臨場感はあるが、その質が違う。中には、「3D上映は目が疲れる」という人もいるが、「ScreenX」ではメガネが不要な分、目への負担は少ないように思える。3Dは苦手という人もScreenXを体験して欲しい。