『君の膵臓をたべたい』の月川翔監督と北村匠海が再タッグを果たした『君は月夜に光り輝く』。不治の病・発光病を患うヒロインのまみずと、入院中の彼女の願いを代行し、叶えていくクラスメイトの卓也の青春純愛ストーリーだ。『キミスイ』で日本アカデミー賞新人俳優賞に輝いた北村が、芝居との向き合い方を語った。

セッション的なお芝居が好き

Q:北村さんの目力や目の演技が印象に残る作品ですが、ご自身でも意識されているのでしょうか?

映画は大スクリーンで観るものだからこそ、そういう些細なお芝居も拾っていただけるので、いち映画好きとして、大切にしています。それに人間は言葉だけじゃなくて、いろいろなところから人の喜怒哀楽を読み解いていくことから、意外と目の情報量って多いと思っていて、目で想いを感じさせることができればいいなと意識したのが始まりでした。今回は特にセリフもそれほど多い役ではないので、自分の中では生かされたような気がしています。

Q:ほかに俳優としての強みや個性など、意識されていることは?

余り大それたことはないですけど、昔から受けの芝居をすることが多いです。まみずに翻弄されながら彼女の生きざまや強さを知り、彼女を巡る様々な人の想いを聞くという、今回もまさに“ザ・受ける側”。独りでセリフを覚えているときにはまったくわかり得ない、“相手の方がこう来るなら、自分はこう”というセッション的なお芝居が自然と増えました。僕自身もそういう芝居が好きですし、舞台とはまた違う生々しさやリアルさに繋がっていくと思います。

Q:音楽活動でのライブやセッションの感覚が、お芝居にも反映されている?

ライブはやっぱり生ものだけに臨機応変さが求められるし、表現で目の前にいる人を魅了しなければいけない。それがもしかしたら、生かされているのかもしれないです。

永野芽郁ちゃんがすごい

Q:音楽の仕事にはない、演技の魅力は?

僕の音楽活動はバンドで、基本的には同じチームでやっています。お芝居は作品ごとに関わるスタッフの方、役者が違うのも面白さのひとつです。オーディションのときには監督の前に横並びになって、組違いで同じお芝居をすることがおおいんですが、同じ台本でも組む相手によって芝居が変わったりするんです。音楽は自分発信の楽しさですけど、役者は台本や相手で変化していくことがあり、お膳立てされた中で自分をどう表現するかを考える楽しさがあります。

Q:本作で影響や刺激を受けた相手は?

永野芽郁ちゃんが完全にすごかったです。「いろいろな取材で“永野芽郁がすごい”と言っているよ」と本人に話したら、「本当にやめて」と拒否られましたけど、引き続き僕は伝えていきます(笑)。本当にすごい女優さんだと思います。彼女に泣かせられたし、芽郁ちゃん演じる、まみずという女性が、本当に魅力的。輝いていたし、芽郁ちゃんのお芝居が楽しいという気持ちが120%伝わりました。お互いにその場に生き、呼吸をするように同じ空間でお芝居ができた。こんなにやりやすい相手は、なかなかいないと感じました。

Q:永野さんは、纏っている空気や芝居に対する想いが北村さんと似ているそうですね?

物事の捉え方や、人間としてのテンポが一緒というか、サッパリしているところもすごく似ている気がします。事務所も一緒で、芸能活動歴もほぼ一緒。僕は子どもの頃にスカウトされて芸能界に入ったけど、お芝居が楽しくない時期もありました。長い年月をかけて今の自分があるという意味でも、似ていると思います。芽郁ちゃんは僕よりずっと爆発力を持った人ですけど、いろんな人生経験から得た自分の感情を使ってお芝居しているから、表現にウソがなくてすごくいいなぁと思います。

悩んでいる子は放っておけない

Q:ぼっち遊園地だったりバンジージャンプだったり、実際に自分だったら“これだけは勘弁してほしい”という代行はありましたか?

もし僕だったら、独りで遊園地はキツいです(笑)。高いところが苦手なので、バンジージャンプもちょっと……。ジェットコースターは好きですけど。卓也自身が全部やったかと思うと、“頑張っているな”って(苦笑)。卓也は人のために独りで行動できて、人間としての器の大きさや懐の深さが、本当にステキな男の子だと思います。卓也の行動力がなければ、このストーリーは成り立たない。僕にはちょっと無理かもしれないですけど(笑)。

Q:『君の膵臓をたべたい』に続きヒロインを支える役ですが、女性を守ってあげたいと思うのはどんなとき、どんなタイプの女性でしょう?

男女を問わず、悩んでいる子は放っておけないタイプだと思います。高校生ぐらいのときから友達の相談には結構のっているかな。実際の助けになっているかはわからないですけど、誰かが困っている姿を見るのが好きじゃない。だから助けたいと思う瞬間はあります。顔のタイプは、特にないかな。内面に惹かれることのほうが多いです。

Q:今回、演じながら思わず胸キュンしたシーンはありますか?

作風として、キュンキュンポイントって感じは余りなくて。この映画では人間同士の思いやりや優しさ、愛情がすごく大切にされていると思います。誰かを好きになるって本当にステキだなと改めて思ったし、人ってこんなに変われるんだな、強くなれるんだと痛感しました。まみずと卓也はお互いに助け合っている感がありますし、僕もいい出会いを経て、人間としてもいろいろ成長していけたらいいなぁと思います。

ヘアメイク:速水昭仁 スタイリスト:Shinya Tokita

取材・文:柴田メグミ 写真:日吉永遠