『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017年)の大ヒットや、『ゲット・アウト』(2017年)、『クワイエット・プレイス』(2018年)、『へレディタリー/継承』(公開中)、『死霊館』シリーズなどの話題作が公開されたこともあって、日本でも洋物ホラー映画がちょっとしたブームになっています。

そうした中、昨年秋、アメリカで大ヒットをとばしたホラー映画『ハロウィン』がいよいよ日本上陸です。本作は1978年に封切られた同名のホラー映画『ハロウィン』の続編。白いマスクを被った“ブギーマン”の恐怖を描きます。

(c) 2018 UNIVERSAL STUDIOS

名作シリーズの最新作は、正史続編な位置づけ

ブギーマンの正体はマイケル・マイヤーズという男。1978年に『ハロウィン』でブギーマンがデビューする少し前、1974年に『悪魔のいけにえ』という映画で人の皮で作ったマスクをつけ、電動ノコギリで旅人を虐殺する“レザーフェイス”、1980年代に入って『13日の金曜日』シリーズの仮面の殺人鬼“ジェイソン”が登場します。それまでホラー映画の怪人と言えば、フランケンシュタインの怪物、ドラキュラ、狼男、ミイラ男でしたが、こうしたマスクの殺人鬼が新しいホラー映画のアイコンになりました。

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ただレザーフェイスはあくまで人間、ジェイソンはもっとオカルトがかった人知を超えた魔人です。ブギーマンは一見サイコな殺人鬼=人間と思ってしまいますが、マスクを被っている時は銃弾でも倒せないという不死身の怪人であり、そういう意味でジェイソンのルーツとも言うべき存在です。

ブギーマンの人気に押され、いくつもの続編またリメイク版が作られましたが、今回の最新作はそうした作品群を“なかったこと”にして、1978年版のストレートな“続編”という体裁をとっています。これが本作のユニークなところ。

じゃあ1978年版を観ていないと楽しめないかというと、そんなことは全然なくて、本作だけでも十分楽しめる&怖がれる作品です。そしてドラマ密度がすごく濃い、見ごたえあるスリリングな作品に仕上がっています。

マイケルは単なる無差別殺人鬼ではない!?

それでは、新作『ハロウィン』のストーリーを、追っていきましょう。

今から40年前のハロウィンの夜、イリノイ州ハドンフィールドという町に白いマスクを被った殺人鬼が若者たちを惨殺するという事件が起こります。その殺人鬼の名はマイケル・マイヤーズ。マイケルは逮捕され、精神医療施設に収監されます。この惨劇は伝説の事件として、町の住民たちの間で語りつがれていました。

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しかし40年後のハロウィンの前日。この事件を掘り起こして取材しようとしたジャーナリストの行動が引き金となって、マイケルは施設を脱走。再びマスクを被って街に戻ってきます。彼の目的は40年前に生き残ったローリーという女性を殺すためです。しかしそのローリーも、いつかまたマイケルがやってくることを予感していました。彼女は自分の娘にマイケルと戦う方法を徹底的に教え込み、それゆえ娘と疎遠になっています。

娘は“マイケルがまた襲ってくる”というのは、事件のトラウマから生まれた母の妄想に過ぎないと思っていました。しかし本当にマイケルが現れたわけです。しかもマイケルは10代になったローリーの孫娘を狙っている。こうしてマイケルVSローリーの宿命の対決が始まります。

この40年前の事件というのが、1978年版『ハロウィン』の内容です。

(c) Anything labeled AA68_D is: Ryan Green/Universal Pictures

『ハロウィン』の続編というと、マイケルという稀代のモンスターをどう描くかという風に考えがちですが、本作は被害者であるローリーの物語にしたことがドラマ性を高めています。だからこれは“モンスター映画”ではなく、“モンスターに人生を台無しにされた被害者が、そのトラウマをどうやって乗り越えていくか”というお話なのです。

日本でハロウィン公開じゃないのは1作目も…

ローリーを演じるのは1978年版と同じジェイミー・リー・カーティス(名女優ですよね)。彼女自身がプロデューサーを務めており、メッセージ性の強いサスペンスになりました。

しかしローリーが中心と言え、もう一人の主役であるマイケルのすごさもキチンと描かれています。つなぎの服に白いマスクを被っただけのシンプルなキャラなのに圧倒的に怖い。このシンプルさというのが『ハロウィン』シリーズの魅力でもあり、必要以上に残酷なシーンや流血やグロい描写はなく、そのかわり全編緊張感があってドキドキしながら楽しむことができるでしょう。

個人的にはホラー映画史に残る名曲である、1978年版『ハロウィン』のテーマ曲が使われているのがうれしいです。

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なおこの『ハロウィン』は、アメリカではそれこそ昨年の秋のハロウィン・シーズンに封切られました。日本では4月公開です。もうちょっと早くと思われるかもしれませんが、1978年版はアメリカではハロウィン時期公開だったのに、日本では翌夏のお盆公開でした(笑)。なのでこれでもかなり早まったと思います。

(文・杉山すぴ豊)