史実に基づいた剣豪・武蔵の実像を、壮大な風景をバックにしたオールロケ、緊迫感漲るリアルな殺陣とアクションによって描き出す本格正統時代劇映画 『武蔵-むさし-』が5月25日より公開になる。

松平健、目黒祐樹、若林豪など12名の豪華俳優陣が主要キャストとして名を連ねる中、武蔵役に抜擢されたのは1月期ドラマ「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)のイケメン刑事役で話題になった俳優・細田善彦だ。

イケメン刑事がSNSで話題に!今年のブレイク俳優のひとり

ドラマ「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」で演じた刑事・宮城役はSNSで話題に

大きな反響を呼んだドラマ「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」では、主演の菅田将暉や生徒役のキャストに注目が集まる中、立てこもり事件を担当する生活安全課の刑事・宮城遼一を演じた細田。「あの刑事イケメン!」「あの後輩刑事さんもっと見たい」と、物語序盤からSNSを中心に話題となった。

椎名桔平演じる先輩刑事・郡司真人に振り回される役どころで、正義感ゆえに上司に反発して独断で行動してしまうなど、若さゆえの青さや秘めた情熱がにじみ出る青年を好演した細田。感情のままころころと変わる表情と、意志を固めたときに見せる精悍な表情とのギャップが役の魅力を重厚なものにしていたのが印象深い。

ドラマ「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」出演時の様子

細田は4月から放送中のNHKドラマ「ミストレス~女たちの秘密~」にもレギュラー出演。4月26日公開の映画『ピア~まちをつなぐもの~』では主演をつとめており、2019年を代表するブレイク俳優の筆頭と呼んでいいかもしれない。

コミカルな役柄から陰湿な悪役まで演じ分ける名バイプレーヤー

細田の本格的な俳優デビューは2005年、高校2年生の時と芸歴は決して短くはない。2007年のドラマ「ライフ〜壮絶なイジメと闘う少女の物語〜」(フジテレビ系)では、ヒロインを陰湿に追い詰めるサディスティックな男子生徒・佐古克己役をつとめた。見る者の肌をゾッと粟立てるような狂気を帯びた演技が「気持ち悪すぎ」「完全にサイコパス」と大いに反響を呼び、同作で細田の顔を覚えた視聴者も少なくないだろう。

また2016年の大ヒットドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)では、新垣結衣演じる主人公・みくりの兄・ちがや役で出演。ちょっと口が悪くて空気の読めない“ウザい”役どころをコミカルに演じた。

そのほかにも『僕の初恋をキミに捧ぐ』(2009年)、ドラマ「真田丸」(2016年・NHK)、「民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~」(2017年・フジテレビ系)など、数々の話題作にコンスタントに出演。なかなか“これが細田の代表作”と呼べるような作品に恵まれてこなかった印象もあるが、確かな演技力はこれまでも高く評価されてきた。

友達100人を作るために俳優業を1年休業して海外生活

細田のプライベートに注目してみると、2016年7月12日放送の「スタジオパークからこんにちは」(NHK)に出演した際には、25歳の時に俳優業を1年休業して海外で一人暮らしをしていたことを明かしている。

トロントやニューヨーク、ソルトレイクの3都市で暮らしていたそうだが、中でもニューヨークに向かった目的は「友達を100人作ることだった」というユニークなもの。

ニューヨークに行く前まで自分の将来について悩んでいたそうだが、アメリカの本場のエンターテイメントに触れたことで、「もう一回舞台に立ちたい」と役者としての再出発を決意したそうだ。

そうしたアクティブな経歴が買われたのか、NHK BSプレミアムの旅番組「2度目の旅」シリーズでは3年間レギュラーをつとめた。アジア、アメリカ、ヨーロッパなど世界各地を巡り、現地の人たちにフレンドリーに話しかけたり、豪快な食べっぷりを披露したりと、そのリポーターぶりも堂に入ったもの。役者としてではない、飾らない細田の無邪気さが堪能できた同番組は多くのファンに彼の魅力を伝えた。

『武蔵-むさし-』で細田が見せてくれるものとは…

『武蔵-むさし-』(C) 2019 三上康雄事務所

俳優業以外にも活躍の場を広げている細田だが、間もなく公開される『武蔵-むさし-』の予告動画を観ると、そこにはゾクゾクとしてしまうほどまっすぐに前を見据える武蔵がいて、やはり彼は根っからの役者の人間なのだと再認識する。

これまで無数に映像化されてきた剣豪・武蔵だが、今回の新作映画ではあくまで史実にこだわり、「本物の武蔵」を描き出すことに力を入れて作られたそうだ。細田演じる武蔵は、果たして昭和の大作家・吉川英治の残した「宮本武蔵」像を塗り替えるほどの存在感を示してくれるのか。

現在31歳。じっくりと演技力を磨き、様々な経験を積み重ねた。そうして手に入れた一朝一夕では醸し出せない深みのある演技が、同映画でいかんなく発揮されていることに期待したい。

(文/猪口貴裕)