女優にはモデルとは比べものにならない表現力が必要

2人の女性がヨガを通して絆を結び、自身を見つめ直す『シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸』。モデル兼ヨガのインストラクターとして活躍するヒロインの一人を演じて女優デビューを果たした道端ジェシカが撮影を振り返った。

取材・文:浅見祥子 写真:高野広美

 

幸せな呼吸

KUMIは近くて遠い役

Q:もともと演技に興味を持っていたのですか?

モデルを15年以上やらせてもらい、演技に興味を持つのは自然な流れでした。映画を観るのも大好きなので、いつか演技をしてみたいという気持ちは以前からありました。そもそも演技をしたことのないわたしに出演のお話がくること自体が光栄なことなんですが、これまでお話をいただいていてもなかなかタイミングが合いませんでした。今回は運良くスケジュールも合ってトントン拍子に決まりました。

Q:映画のオファーを受けたときはどう思われましたか?

お話をいただいたとき「モデルでヨガのインストラクターという役柄は、自身に近くて演じやすいのでは?」と言われました。確かにわたしはモデルで、インストラクターのレベルではありませんが、ヨガをずっと続けています。でも台本を読むと、KUMIとわたしは全然違いました。共感できる部分と、自分とは正反対の部分、両極端の要素を備えていました。そこで演じてみたいと思う反面、どうしようという思いも。自分に近いキャラクターだからこそ、「こういう人だ」と思われるかもしれないし、初めての演技でこんな大役を務められるのか不安もありました。友人に相談すると、「演技のお仕事は必ずしも共感できる役ばかりをやるわけじゃないんだよ」と言われ納得できました。それで、やはりやらせてもらおうと決めましたね。

Q:KUMIという女性をどう思いますか?

台本を読みながら「どうしてこんなことをしちゃうんだろう?」「どうしてこんなふうに言うの?」とわたしにとってKUMIは、ツッコミどころ満載でした(笑)。一方で、人から見える部分だけをケアするのではなくて、自分のためにペディキュアを塗るといったところには共感しましたね。靴を履いてしまえば他人からは見えないけど、足指の先までキレイにすることで少しだけ自分に自信を持とうとする。そんなところはよくわかります。

幸せな呼吸

■刺激に満ちた初めてのお芝居

Q:実際にお芝居をした感想は?

女優業はモデルの仕事の延長線上にあると思い込んでいました。実際にカメラの前で表現するという意味では近いのですが、カメラとの関係が真逆なんで す。モデルのときは洋服を見せるのも自分を表現するのも、カメラやライトがどこにあるのか意識し、どう映るのか考えてポージングします。でもお芝居ではカメラの存在を忘れなくてはいけないんですよね。モデルは基本的に、美しく見えるようにメイクをしてポーズしますが、お芝居ではそうでないシーンも当然あるわけで、それが新鮮で楽しかったです。

Q:すると普段なら見たくない、見せたくない自分の姿が映っているわけですか?

人間ですから精神的にアップダウンがあって当たり前です。でもわたし自身はこうした取材やブログなどで心の奥の奥を公にするタイプではないんです。なので、できた映画を観たときは不思議な感覚でした。ファンの方にとっては、見たことのないわたしの一面が見られるかも。それを含めて演技なんだなと。

Q:海空(みく)役の門脇麦さんや、バーのマスターを演じる村上淳さんらとの共演はいかがでした?

門脇さんや村上さんとお芝居をすると、ずっと演じやすくなるんです。演技力のある方は一緒に演じる俳優を巻き込むというか、人のスイッチも入れられるんだなと。役柄というのは多くの人の手でつくられていくのだというのも実感しました。家で台本を読み、例えば海空ちゃんはこんな感じだろうとイメージしていても、門脇さんはわたしの想像以上に、海空ちゃんに色を付けて演じてくれるんです。すると、「海空ちゃんってこうなんだ!」と思い、KUMIとしての演技も影響されます。さらに監督から「KUMIはこのとき、こういう気持ちだった」などと教えてもらうとKUMIに関する情報が増え、KUMIの人間像がしっかりしたものになりました。そうした作業が面白かったですね。

Q:1本映画を撮り終えて、女優業の面白さをどこに感じましたか?

女優にはモデル業とは比べものにならないくらいの表現力が必要でした。長い間、静止画の世界で表現してきた身としては、演じていて気持ちがよかったです。刺激的な毎日が過ごせて勉強になりました。本当にやってよかったと思っています。もし機会をいただけるのであれば、またぜひやりたいですね。

幸せな呼吸

■イメージと実像にギャップあり!?

Q:著書を読んだり、お話を聞くと、目の前のことへ素直に突き進む印象があります。

もともとそういう性格ですね。無理しているのではなく、自分ではもっと落ち着きたいと思っているくらいで(笑)。でもわたしは単に興味のあることにどっぷりハマるタイプなだけで、そうでないことには1ミリも興味が湧かないんです。よく「朝6時に起きてスムージーを飲んでヨガとかしてそう」などと言われるのですが(笑)、実際のわたしは朝がすっごく苦手で、早めに起きて運動したくても起きられないんです・・・。

Q:著書の中で「30歳の顔には自分の生き様が表れる」という言葉を紹介されていました。30歳を前にしたご自分の今の顔をどう思いますか?

どうでしょう・・・自分ではなかなかわかりません。ハッキリ言えるのは10代のころより今の顔の方が好きだということ。体形もそうです。本当に今の方がいいのかどうかは別として、今の自分に満足してそう思えることはラッキーなのかなと思います。

スタイリスト:百々千晴/ヘアメイク:Eita(イリス)

<衣装協力>シャツ/クリーン デニム ☓フリーズ ショップ(フリーズ ショップ ルミネ新宿店)問い合わせ先:フリーズ ショップ ルミネ新宿店(03-3342-5440)