『百日紅~Miss HOKUSAI~』杏 インタビュー

インタビュー

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江戸を全身で感じられる作品

『百日紅~Miss HOKUSAI~』杏 インタビュー

『百日紅~Miss HOKUSAI~』の予告動画

『河童のクゥと夏休み』『カラフル』で知られる原恵一監督が、江戸風俗研究家で文筆家、漫画家の杉浦日向子の代表作「百日紅」を映画化。初めてアニメーションの声優に挑んだ杏が、自身も大好きな杉浦作品のヒロイン像、そして作品に懸けた思いを語った。

『百日紅~Miss HOKUSAI~』は5月9日より全国公開

取材・文: 永野寿彦 写真: 高野広美

大好きな杉浦作品で初のアニメーション声優に

Q:アニメーション声優の仕事はこれが初めてですが、オファーがあったときのお気持ちは?

声だけで表現する仕事にも興味があったのと、以前から杉浦(日向子)さんの作品が好きだったので、初めて参加させていただくアニメーションが杉浦作品というのはとてもうれしかったですね。

Q:演じられたお栄という女性をどう思われましたか?

女性にとってまだいろいろ難しいことがあった時代に、自分の筆の力を信じ、自分の足でしっかりと立っていたというところがすごい人だなあと。それだけじゃなく絵師としての実力まで伴っていたところがまたすごいですよね。

Q:ご自身とお栄、似ている部分はありますか?

お栄さんの場合は実在した人物なので、自分と似ているとはあまり言いづらいですね。似ているとか共感できるというよりも憧れの方が強いですね。

Q:監督からお栄にキャスティングされた理由などのお話はありましたか?

わたしのことをちょっと変わった人だなと思っていたらしいです(笑)。「キルトの家」というドラマで、そこではおキャンというか乱暴な言葉遣いの女性を演じていたのですが、そのときの強さみたいなものと、バラエティーに出たときの面白さみたいなものを見たのがきっかけとはおっしゃっていました。

『百日紅~Miss HOKUSAI~』杏 インタビュー

お栄の声には着物姿でチャレンジ!

Q:お栄を演じる上で大切にしたものはありますか?

とにかくアニメーション声優の仕事は初めてだったので、どういうものが正解かというのもわかりませんし、自分がああしよう、こうしようというのはなくて。ですから監督には「NGだったら何百回でもやり直しますから、何度でも呼んでください」とお願いしました。

Q:録音現場には着物で臨んだそうですね。

何しろ初めてのことばかりで、どういうアプローチをすればいいのかわからなかったので(笑)。普段やっている映画やドラマの仕事でもアフレコをすることはあるんです。それも撮影が終わって何日もたってから。そのときに、衣装とかメイクとかないままマイクの前に立ってやってみると、撮影したときと同じ声がうまく出せないことがあったんです。だから今回はあえて自分から着物を着てみました。お栄さんの姿に近づければ、着物が生み出してくれる声音があるかもしれないと思ったんです。

Q:実際、声だけの表現にチャレンジしてみた感想は?

やっぱり難しかったですね。どこまで江戸弁っぽくするのかという言葉遣いもありましたし、息だけで表現しなければならない感情もありました。例えば、「おめえはまだまだ半人前だなあ」と言われて「う~」とうなるセリフが台本に書いてあるのですが、これは原作にもあるセリフで、活字になっているものではなく、いかにも漫画らしく杉浦さんの手書きでさらっと書いてあるセリフなんです。だからどういう「う~」にしたらいいのかと・・・・。わたしもだいぶ迷子になりました(笑)。

『百日紅~Miss HOKUSAI~』杏 インタビュー

演じてみて感じたアニメーションの可能性

Q:録音のときは映像はどれくらいできていたんですか?

描きかけのスケッチのような線画のものがまだありました。そういう意味でも難しかったです。出来上がったものを観たときはものすごく感動しました! ずっと見たいと思っていた江戸の風景がそこにあると思いました。アニメーションでしかできない風景があるんだなと。両国橋から八百八町に広がる江戸の風景とか、美しい川の姿だったりとか。実写ではなかなか難しいものが、筆一本で描き切ることができる。江戸ってわたしたち現代の日本人にとっては、知っているけど知らない、知らないけど知っているというすごく絶妙な距離感にある。今、手を伸ばさないと失われてしまうものがたくさんあると思うんです。そのことを全身で感じられる作品が、この『百日紅』だと思います。

Q:またアニメーションをやってみたいですか?

本職の方もいらっしゃるので、おこがましいとは思っているのですが、アニメーションはじめ声のお仕事にはすごく興味があって憧れを抱いていたんです。もっともっと関わらせていただきたいです。声だけの表現力というものを要求されて、難しいと思うことはたくさんありました。けれど、それ以上の可能性がアニメーションにはあると実感しました。特に、今回の作品は大好きな杉浦作品であること、昔から興味のあった浮世絵の世界であることと、自分の趣味、嗜好(しこう)からいっても、参加させていただいて光栄な作品でもありましたので。自分にとってこの経験はとても大きいことだと思います。劇場の大きな画面と大きな音で、大切な何かを感じていただけたらうれしいです。


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記事制作 : シネマトゥディ