【ハリウッド★トレンド通信 Vol.3】本音かネタか?真心かビジネスか? カーダシアン家のエンタメをジャッジ

コラム

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文=ロサンゼルス在住ライター 町田雪

カーダシアン家

(C)2007 E! Entertainment Television, Inc.

カーダシアン一家。よーくご存じの方は? 名前ぐらいは聞いたことがある方は? 何だかさっぱり・・・の方は? 日本ではそこそこの知名度であろう一家だが、米国ではここ数年、メディアでその名を聞かぬ日はないほどの有名ファミリーである。かつて米リアリティテレビ界を席巻していたパリス・ヒルトンの大親友として、頭角を現した次女キムを始めとする圧倒的な女系家族。“セレブ” “セクシー” “お騒がせ”と、米リアリティ界における成功の3本柱を軽くパスし、“家族の絆”というユニバーサルな強みを味方につけ、競争の激しい米エンタメ界をサバイブしている。

一家の牽引役である女系メンバーは、母クリスと、世界的に注目されたO・J・シンプソン裁判の弁護士チームの一員であったロバート・カーダシアン(他界)の間に生まれた三姉妹のコートニー、キム、クロエ。そして、クリスの再婚相手である元オリンピック金メダリストのブルース・ジェンナーとの間に生まれた姉妹のケンダルとカイリー。この6人の女性たちに、三姉妹の弟ロブ、クロエの夫スコット、キムの夫でミュージシャンのカニエ・ウェスト、そしてパパ・ブルースの愛称を持つブルースらが入り混じり、様々な家族騒動を繰り広げている模様。

ここ数年、買い物に出かければ情報誌の表紙にカーダシアン、ポータルサイトを開けばトップページにカーダシアン、テレビをつければリアリティ番組「カーダシアン家のお騒がせセレブライフ」が飛び込んでくるといった具合で、その露出たるやハンパない。ちなみに、同シリーズは2007年より、「アメリカン・アイドル」の司会で知られる売れっ子司会者&DJのライアン・シークレストがプロデュース。姉妹だけをフィーチャーしたスピンオフも生まれている。

 カーダシアン家

(C)2007 E! Entertainment Television, Inc.

こうしたあらゆるメディア露出の裏には、母クリスの徹底的な演出があると、まことしやかに囁かれている。もちろん、リッチなファミリーのこと。ビジネスの匂いがすることも否めない。キムの72日間の結婚騒動(2011年にNBA選手と結婚。その様子が番組で大きくフィーチャーされるも72日で離婚)、長女コートニーの夫と姉妹たちの浮気、ケンダルとジャスティン・ビーバーが熱愛・・・と途切れることのないスキャンダル。何もかもが、本当なのか、ネタなのか、ビジネスなのかわからず、好き嫌いがまっぷたつに分かれる存在でもある。昨年、ウェディングドレス姿のキムとスーツ姿のカニエのショットが米「ヴォーグ」誌の表紙を飾った際にも、ソーシャルメディアが炎上。『THE JUON 呪怨』の主演女優でもあるサラ・ミシェル・ゲラーらが購入ボイコットを表明すると、同意する読者が続出する事態となった。レオナルド・ディカプリオなど アンチ・カーダシアン の姿勢を見せているスターもいる。

が、一過性のブームや単なるスキャンダルを超越しているのがカーダシアンのすごいところ。「セルフィー(自撮り)」という言葉を定着させたキムのInstagramとTwitterはともにフォロワー3100万人を超え、キムをフィーチャーしたアプリのビジネスも好調。放送局E!の「カーダシアン家のお騒がせセレブライフ」は、1億ドルの4年契約が報じられた。セレブの肩書に頼らずモデル道を歩むケンダルの健気な姿勢への好感度も高い。

特に、大御所女性陣によるキムへの評価は本物だ。重鎮ジャーナリストのバーバラ・ウォルターズは「ヴォーグ」誌表紙騒動の際に「素敵な表紙だと思うわ。2人とも美しいし、自分たちらしく生きている。ワクワクするじゃない?」と助け舟。同誌のアナ・ウィンター編集長は、「キムはそのキャラクターの強さを持って、世界中の注目が集まるまばゆい光(ショービジネスまたはハリウッドのことだと思われる)のなかで存在感を放っている。それは本当にガッツを必要とするもの」と綴っている。

こうしたなか、パパ・ブルースは先日、米ABCの報道特番で自身がトランスジェンダーであることを告白し、1700万人が視聴。性的マイノリティの大きな支持を受けている。同番組が放送される前に、米「バラエティ」誌のロング・インタビューに答えたキムは、「家族みんなでブルースの特番を見ます。家族の誰がどんな状況にあろうと、お互いを支え合う。それが家族というものです」と語っていた。他界した実父への深い愛情を語ることも多いキム。父の病因であったがんと闘う子どもたちとその家族を支援するため、小児病院への寄付や訪問も継続的に行っている。

最近、米「タイム」誌が選ぶ「最も影響力のある100人」に選ばれたキムへの紹介コラムを寄稿したライフスタイル実業家のマーサ・スチュワートは、カーダシアン一家について、こう綴った。「カーダシアン一家はまさに、現代の家族の象徴です。アルメニアの家系に多人種カップル、トランスジェンダーの親という混合家族。良いときも悪いときも一緒にいるために努力を惜しまないのです」。

ショービジネスなのだから、ネタも作り物も当然ある。それでも、その合間に見え隠れする個々の誠実で純粋な一面と、互いをリスペクトし合う家族の絆が、カーダシアン一家の息の長いエンタメ・ライフを保証しているように思えるのだ。

「カーダシアン家のお騒がせセレブライフ」はHuluにて配信中!

記事制作 : Avanti Press

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