【ぽっちゃりイケメン一本釣り! vol.1】ふさふさヒゲにクールなメガネ ザック・ガリフィナーキスに胸キュン!

コラム

  • twitter
  • facebook
  • はてなブログ
  • google+
  • LINEで送る

文=皆川ちか

ふさふさヒゲにクールなメガネ ザック・ガリフィナーキスに胸キュン!

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
(c) 2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

第87回アカデミー賞で主要4部門を受賞し、現在日本でも公開中の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』。マイケル・キートン、エドワード・ノートンら、ハリウッド映画界で長年活躍している錚々たる出演者の中に混じって、ひとり、見慣れぬ役者が異彩を放っていた。

ふさふさしたヒゲにクールなメガネ、小太りながらキレのある動き、そして眉間にしわを寄せた物憂げなまなざし・・・この男、ザック・ガリフィナーキスに、予期せぬときめきを感じてしまった女性は、きっと、おそらく、かなりいる気がする。

ぽっちゃり体型であるにも拘わらず、いや、だからこそのチャーム。イケメンに感じる胸キュンとは、微妙に似て異なるキュン。この胸のときめきは何! 何なの! と驚愕した女性は、きっと(以下自粛)。

そもそもデブキャラ、もとい、ぽっちゃりメン(以下ぽちゃメン)は、映画ではなかなかイケメンポジションには就き得ない存在だった。『大災難P.T.A』のジョン・キャンディ然り、『スクール・オブ・ロック』のジャック・ブラック然り。ぽちゃメン界のアイコン、故フィリップ・シーモア・ホフマンをもってしてさえも、ついにイケメンポジは未踏だった。

映画の中のぽちゃメン――それはたいてい「周囲に迷惑を撒き散らかすKYキャラ」か、カンニング竹山のような「キレキャラ」か、さもなくば「童貞のオタク」。よくて人畜無害、悪くて路傍の石。決してスーパーヒーローにはならない、いや、なれない人種、それがぽちゃメン。しかし、考えてみよう。イケメンや美女ばかりが出てくる映画なんて、ガリのないお寿司、マッシュポテトのないステーキのようなものではないだろうか。つまり、おいしいけど、それだけだと飽きる。

おいしい料理を最後までおいしくいただくには、メインディッシュとはまったく異なるおいしさを持つ、付け合わせが必要だ。そう、映画におけるメインディッシュがイケメンとするならば、それらと真逆の美味なる付け合わせ、それこそが、ぽちゃメンの担う役割であり、唯一無二の存在証明なのだ。

男子映画の金字塔『ハングオーバー!』シリーズのトラブル担当、アラン。かつてザック・ガリフィナーキスが演じたこの人物は、KYで、キレキャラで、いい年こいて自宅警備員という、ぽちゃメンの基本三要素をすべて備えた理想形と言えるだろう。

ぷっくらとお腹の突き出た幼児体型。起きていても眠そうな、見ようによってはつぶらと言えなくもない瞳。おびただしいヒゲ。そしてなで肩。ふてぶてしい顔つきと、そのくせどこか母性本能をくすぐる雰囲気が相まって、そこはかとなく愛らしい。

トラブルメーカーである彼の横には常に、見守り(見張り?)役として、イケメン担当ブラッドリー・クーパーがつき従っているという演出がまた、相乗効果を生んでいる。ぽちゃメンがいてこそイケメンはよりイケメンに。そして、イケメンには出せない妙味があるからこそ、ぽちゃメンは一度知ったら、あとを引く。

実際このシリーズでもっともブレイクしたのはクーパーとガリフィナーキスの二人であり、その後クーパーは三年連続でアカデミー賞にノミネートされる第一級俳優へと躍進した。そしてガリフィナーキスの方は、『ハングオーバー!』で意気投合した監督トッド・フィリップスと再び組み、『アイアンマン』のトニー・スタークことロバート・ダウニーJr.と『デュー・デート ~出産まであと5日! 史上最悪のアメリカ横断~』でW主演を果たす。

この作品で彼は『ハングオーバー!』のアラン路線を発展させた、お騒がせ男イーサンというキャラクターに扮し、体重に加えてヒゲとKY度を増量。名優ながらクセの強さも一級品のダウニーJr.を相手に、堂々たるぽちゃメンぶりを発揮して渡り合った。

ここまで読んでくださった方々ならば、お気づきだろう。ぽちゃメンとコメディは相性がいいということに。ふくよか体型は笑いを誘発し、人の心を和ませる。ガリフィナーキス自身、スタンダップコメディアン出身で、そこから頭角を現してきた。

ふさふさヒゲにクールなメガネ ザック・ガリフィナーキスに胸キュン!

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
(c) 2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

しかしながら彼は『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で、まったく新しい顔を見せている。マイケル・キートン演じる、長いスランプからの脱却を図るかつてのスター俳優リーガンの、親友にしてオブザーバー、弁護士でありらつ腕プロデューサーのジェイク役だ。情緒不安定なリーガンに、ジェイクは時に辛らつ、時に優しい言葉をかけて、ややシェイプされたものの体型は依然、ぽちゃをキープ。ヒゲもじゃも相変わらずだ。しかし、これまではKY、キレキャラ、オタクを表現するため効果を上げてきたそのボディが、今作ではそれがそのまま信頼感と安定感へと転換。問題だらけの登場人物たちの中で唯一、常識を備えたジェイクという役柄を説得力をもって演じていて、なんとも頼りがいがある。

あれ、私の目には、だんだんザックがイケメンに見えてきたんだけど・・・。気のせいでしょうか。それとも、ぽっちゃりメンの魅力にようやく・・・開眼したということなのでしょうか?

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
全国公開中
配給:20世紀フォックス映画
監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ(『バベル』『21グラム』『アモーレス・ペロス』)
撮影:エマニュエル・ルベツキ(オスカー撮影賞受賞『ゼロ・グラビティ』『ツリー・オブ・ライフ』『トゥモロー・ワールド』)
ドラム・スコア:アントニオ・サンチェス(オリジナル・スコア / 「New Life」で第55回グラミー賞受賞)
キャスト:マイケル・キートン、ザック・ガリフィナーキス、エドワード・ノートン、アンドレア・ライズブロー、エイミー・ライアン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツ

(c)2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

記事制作 : Avanti Press

シリーズ