『極道大戦争』三池崇史監督&市原隼人 インタビュー

インタビュー

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市原隼人のフェロモンが感じられる作品

『極道大戦争』

『極道大戦争』の予告動画

住民たちが次々とヤクザヴァンパイアになっていく中、市原隼人が演じる影山亜喜良は次々と襲い掛かる刺客と戦いを繰り広げていく・・・。7年ぶりのタッグとなる三池崇史監督と市原が、興奮に彩られた撮影の記憶を語った。

『極道大戦争』は6月20日より全国公開

取材・文: 須永貴子 写真: 高野広美

台本を読んでぶっ飛んだ!

Q:そもそも監督がこの作品を撮ったきっかけは?

三池崇史監督(以下、三池監督):準備中だった作品がなくなって、時間が空いたんです。予算も日数もないけれど、自由度が高いものが作れる状況だったので、どうせやるなら今時作れないものをやろうというところから始まりました。

Q:そこに市原さんを主演に迎えた理由とは?

三池監督:まず敵のヤヤン・ルヒアンさん(『ザ・レイド』)をキャスティングしました。彼と戦わざるを得ない状況に陥る主人公を探しているときに、市原くんがタイで監督と主演を兼ねたアクションの短編映画を撮っていたという話を聞いて、いけるだろうと。

市原隼人(以下、市原):昔からカメラを遊びで回していたんですけど、どうせやるなら「もっと、もっと」とこだわった結果、短編映画になっていたんです(笑)。

Q:脚本を読んだ印象はいかがでしたか?

市原:「なんだこれは!? こんなぶっ飛んだ作品は初めてだ!」と驚きました。僕が演じた影山は極道者なのですが、彼が抱える「自分は半端者ではないか?」という悩みは誰もが一度は抱えたことがあると思うんです。観客が影山に共感しやすい入り口がありつつ、彼がヤクザヴァンパイアになることで、誰も予想できない方向に展開していく。一刻も早く現場に入りたかったです。

『極道大戦争』

「うろたえない」市原と影山

Q:現場はいかがでしたか?

市原:毎日胸が高鳴りっぱなしでした(笑)。三池監督がスタッフと話しているうちに、現場がどんどん生き生きとしてくるんです。あらかじめ決めた枠に当てはめるのではなくて、「え? そんなこと台本に書いてない!」みたいなことでも面白いと思ったことを撮っていく。日に日に空気感が濃くなっていったので、出来上がりがどうなるのか全くわかりませんでした。

三池監督:それは、市原隼人だからできたことですよね。影山は、組長にかまれてヤクザヴァンパイアになって、カエルの着ぐるみや、ヤヤンさんと戦わざるを得ない状況に追い込まれます。普通の役者だったら「えー? どういうこと?」とパニックになる。でも、市原くんは僕らが考える範囲の困難ではうろたえない。それは、ヤクザヴァンパイアになって内心はうろたえるけれど、局面を乗り越えていく影山とクロスしているんです。

『極道大戦争』

市原隼人は危険な男!?

Q:アクションシーンにはどう取り組みましたか?

市原:全てのシーンで、常に気持ちを大事にしました。セリフに感情をのせるのではなく、感情があふれてセリフが出てしまったというイメージです。アクションはシーン数が多かったので、現場ですぐに対応できるように常に体を動かして準備しておきました。

三池監督:とはいえアクション映画にはしたくなかったんです。戦う姿に表れるキャラクターの生きざまや、そこから匂い立つ作り物ではないフェロモンを、いかにスクリーンを通して観客に届けるかという挑戦でした。この映画の市原隼人からは、フェロモンを感じるんじゃないかな。

Q:その挑戦は、なぜ成功したのでしょうか?

三池監督:フェロモンってね、命を懸けていないと出てこないんですよ。「明日、死ぬかもしれない」という瞬間にしか出せないフェロモンを出すから動物的でかっこいいんです。だから、飛び降りるシーンや車で突っ込むシーンの直前のスタントマンはものすごくかっこいい!

市原:(真剣な表情でうなずきながら)本当にそう思います。

三池監督:市原隼人はそういうタイプの役者です。今回はヤヤンさんという強くて美しい男と一対一で向き合い、闘志をかき立てられて、本気で突っ込んでいったことでフェロモンが出ている。映画の枠をはみ出すし、「そう見えればいい」という計算や次元を超えてしまうから、なかなか危険な男ですよ(笑)。

市原:常に気持ちで芝居していますけど、アクションのときは気持ちが特に入っちゃっています(笑)。そういうときは相手の動きがスローに見える。相手の次の手を読もうとして、相手が息を吸った瞬間にビクッと動く体の部分を探す自分がいるし、相手の目を見れば、相手が自分のどこを見ているのかがわかってくる。その目に見覚えがあったりなかったりするんですが、ヤヤンさんの目はなかなか見たことがない目でした。

三池監督:僕らの作る映画はフィクションですし、台本でキャラクターにリアリティーをもたせるのは難しい。でも、市原隼人のように枠に収まらない俳優を通すことで、まるでノンフィクションのようにリアルな映画が作れるんです。

市原:僕もいろいろな役を経験して、さまざまな感情を体験して、いろいろな自分を見てみたい。最終的に、墓に入ったときに「ああいう人間だったよね」と言われたら役者として本望です。


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記事制作 : シネマトゥディ