『駆込み女と駆出し男』大泉洋 インタビュー

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戸田恵梨香との関係は劇中にも反映!?

『駆込み女と駆出し男』大泉洋 インタビュー

『駆込み女と駆出し男』の予告動画

立て板に水とはまさにこのこと。主演映画『駆込み女と駆出し男』で、ヤクザの親分すら口八丁でやり込めてしまう戯作者志望で医者見習いの主人公・中村信次郎を演じ、膨大な量のセリフを見事に操ってみせた大泉洋が、撮影の思い出を語った。

『駆込み女と駆出し男』は5月16日より全国公開

取材・文: 高山亜紀 写真: 高野広美

思い出いっぱいのキムラ緑子との場面

Q:上映時間2時間23分ですが、全く長く感じませんでした。

撮影しているときには「この映画、撮り切れるのか!?」と心配になるくらいの量だったんです。流行の前後編に分けて、ちょうどいいくらいの気がしました。監督から「2時間ちょっとで終わる」と聞いたときは驚きましたが、本当にその通りになりましたね。撮った量からすれば、大ナタを振るわなければ、そんな分数にならないはず。でも、あまりカットされている印象がないんです。「あそこかな?」ぐらいはありますが、見事だと思います。

Q:数々の見せ場がありますが、印象深かったシーンは?

(ヤクザの親分役の)橋本(じゅん)さんとのシーンは確かにセリフが長くて、大変ではあったんですけど、やっていて楽しかったですね。セリフを言っていて気持ちがいい、役者冥利(みょうり)に尽きるシーンだなという気がしました。思い出に残っているのは、ドリさん(キムラ緑子)との場面です。信次郎が殴られた後、目覚めると、ドリさん演じるお勝と布団部屋にいる。あのシーンは練習ができたんです。監督から、縦横無尽に動き回ってほしいと言われて、セットを自由に使わせてもらい、半日以上、稽古をしたんです。まるで舞台みたいで、学生時代の感覚を思い出しました。ドリさんには「TEAM NACS(大泉の所属する演劇ユニット)ってほんと稽古好きね」ってあきれられましたけど(笑)。

『駆込み女と駆出し男』大泉洋 インタビュー

信次郎は今でいうオタク!?

Q:信次郎のセリフ回しも鍛錬のたまものですね。

戯作自体が書きづらくなる時代になると、戯作者の仕事も少しずつ、書くというより、しゃべって聞かせるようになっていったらしいんです。次第に落語家、講談師に近くなっていく。だから、しゃべり自体に魅力のある人にしたいと思っていました。聞いていて、心地のよいリズムで話したかった。台本自体に書いてあったセリフも長くはありましたが、心地よくて、覚えやすかったです。本当にセリフ回しが速いので、一回、聞いただけで、どれくらいの人が理解できるのかわからないんですが、そういうことを度外視しても観られる作品ですよね。映像の美しさとセリフ量で圧倒していく面白さがあります。

Q:セリフのリズムをつかむために手本にしたものはありますか。

特に何かを参考にしたということはないですが、監督から、参考になる時代劇をいろいろ教えてもらいました。その中で一番影響を受けたのは『幕末太陽傳』ですね。フランキー堺さんが素晴らしくて、なかなかできるものではありませんが、スピード感と小気味いいセリフ回しには目指すものがあったかもしれません。

Q:演じる上で、特に気を配っていたことはありますか。

信次郎って今でいうオタクなんじゃないかと思ったんです。戯作や医療がとにかく好きで、少しでも多く学びたい。興味あること以外、見えなくなり、夢中になってしまう無邪気さをどこか気持ちとして、表現していた気がします。やりたいことに対して正直。優しいけれど、気が弱い。そういうキャラクター像をイメージして演じていました。

『駆込み女と駆出し男』大泉洋 インタビュー

男性は女性にリードされた方が楽!

Q:戸田恵梨香さん演じるじょごと信次郎のクライマックスのシーンもなんだかかわいいです。

台本を読む限りでは、もう少し、かっこいいシーンなのかなと思っていたんです。でも、監督が僕と戸田さんとの関係を見ていくうちに、「これは違うな」と思ったんでしょうね。当日、現場に行ってみたら、「じょごの方から」と聞いて、驚きました。「あ、そういうシーンなんですか?」って(笑)。あれは笑っちゃいました。純なところがいいですね。

Q:信次郎は完全にじょごの尻に敷かれていますよね。

じょごは強いし、彼女に引っ張られる役だったので、個人的には「こういう人、楽だな」と思っていました(笑)。劇中にはつらい目に遭っている女性がいっぱい出てきて、そこから抜け出そうと必死に頑張っていたり、男のために生きようとしたりする。そんな女性たちがすごくいとおしかったです。男はダメだなと思うことも多い映画でした。監督は男ですから、面白いですよね。女性を描くときに男が撮ると、たいていは男目線になってしまって、女性から「こうじゃない」って思われたりすることも多いのに。なんか男が情けなく見えるんです。でも、悪い意味ではなくて、それはそれで男もかわいい生き物だなと思わせてくれる作品です。

Q:監督によれば、「時代劇ルネッサンス」だとか。

見終った後、単純に思ったのは「すごいものを観たな」という感覚です。いろんな意味で新しいんです。良くも悪くも観ている人を落ち着かせない。画面をどんどん観ていくしかない。すごいエネルギーにあふれているんです。僕も1回しか観ていないのですが、もう1回観たいと思わせる力があります。

Q:映画館の大画面で観たい作品です。

本当に画(え)が美しいので、大きな画面で観てもらいたいです。テレビの画面だとあの奥行きはどうしても見えてこないと思いますから。セットだって、ものすごく奥まで作られているんです。あの壮大さをぜひ、劇場で観てほしいですね。時代劇だけど、時代劇っぽくない。ベテラン監督の作品なのに革新的。原田(眞人)監督のあの新しい感覚はすごいです!


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記事制作 : シネマトゥディ