【ぽっちゃりイケメン一本釣り! vol.4】 日本映画界における気鋭のぽちゃメン 駒木根隆介がまとう豊満なピュアネス

コラム

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文=皆川ちか

駒木根隆介

駒木根隆介

現在、ぽっちゃりメン(略してぽちゃメン)とそうでないメンの差異はもはや、ほとんどないように感じられる。

ぽちゃにもセクシーなメンはいるし(ex,アレック・ボールドウィン)、ぽちゃにもやり手のメンはいるし(ex,セス・ローゲン)、ぽちゃでも強いメンもいる(ex,サモ・ハン・キンポー)。外見的にも能力的にも、ぽちゃと非ぽちゃを差別(あるいは区別)するものは、体重以外、ほとんどないと言っていい。

にも拘らず、今さらながらの疑問だが、なぜぽちゃメンは、ただぽちゃであるというだけで、なにかと貶められがちなのだろう。

ボリュームたっぷりな腹回りのせいだろうか。それとも、豊満でたわわな巨乳が男性にとってはマイナスのイメージをもたらしているのであろうか。女性以上にふくよかで、母性を感じさせる柔和な丸いフォルム。彼らのその包容力ある体型をして、逆に侮りやすし、な印象を周囲に与えているのだろうか。

4回目にして初の日本人となる今回のメン、駒木根隆介。その風貌といい存在感といい肥え具合といい、欧米のメンと比較しても、決して引けをとらないぽっちゃりイケメンである。

『SR サイタマノラッパー』(09)で主人公IKKUを演じる彼を初めて見たときのインパクトには、すさまじいものがあった。田んぼ道を、ストリートファッションでキメキメにきめてライムを口ずさみながら歩くその姿は・・・何かに似ていると思ったら・・・ドラえもんにそっくりだ! BWH(スリーサイズ)がすべて129.3cmであることで有名な(有名か?)、あのネコ型ロボットに。

IKKUは、埼玉在住のラップグループ“SHO-GUNG”のメンバーであり、職業は自宅警備員、別名ニート。いつかライブする日を夢見ながらも、その“いつか”は訪れる気配まるでナッシング。ぽちゃでニートでラッパーで、と、いじられ要素フル装備なIKKUは、あらゆる面で太刀打ちできそうにない経験値をもつ元同級生の女子、小暮から「宇宙人かよ」と、きつーい一言をいただき、巨体を丸めて縮こまる。

ガラスのハートを肉厚のボディで武装して、基本的に女子は敵。自意識という名の鎧で自らをがっちがちに守り固め、結果、鎧を外すタイミングを逸して途方に暮れるいとけなさ。

『SR サイタマノラッパー』

ニートラッパーIKKUを演じる駒木根隆介(中央)
『SR サイタマノラッパー』
(c)2009 ロサ映画社/ノライヌフィルム

前回のセス・ローゲンの役どころが、アメリカ的な陽性ぽちゃメンだとしたら、駒木根演じるIKKUはさながら、傷つきやすくて繊細なナイーブぽちゃメンというところか。こういうところにもお国柄は出るものなんですね。

そう、身体が太いからといって、神経まで“ごんぶと”にできているわけではない。むしろIKKUはその真逆。だから人から安心して侮られ、バカにされる。

ぽちゃですみません、暑苦しくてすみません、生れて、すみません(by太宰治)。

IKKU、そこまで自分を卑下するなYO! と、言ってあげたくてたまらない気持ちにさせられる丸みを帯びたシルエットが、なんともいじらしい。

豊満な肉体に宿る少年のようなピュアネス。

駒木根の演技力により体現されるこの体型と精神性は、続編『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』(10)、完結編『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(12)でもブレることなくキープされ、IKKUイコール駒木根イコール、信用できるぽちゃメン役者という認識をされた方々は、業界内でけっこうおられるのではないかと思う。

そうでなければ、その後もこれほどピュアネスぽちゃな役柄を、オファーされ続けるはずがない。たとえば、ブロマンス漫画の名手、のりつけ雅春の同名漫画が原作の『アフロ田中』(12)では、仲間内の誰よりも早く結婚を決意するデブ担当の井上。NHK連続テレビ小説「純と愛」(12)の、おとぼけベルボーイでコメディ担当の田嶋。同じくNHKBS「キャロリング ~クリスマスの奇跡~」(14)の、外見はコワモテ、内面は小心者の取り立て屋、糸山。そして極めつけが、演劇界の鬼才にして異才、演劇ユニット「ポツドール」主宰の三浦大輔が自らの舞台を映画化した『愛の渦』(14)だ。

池松壮亮、新井浩文、滝藤賢一、柄本時生ら、しゅっとした体型のメンたちの中にドラえもんが紛れていると思ったら・・・よく見たらIKKU! じゃなくて駒木根くんではないですか。

この作品でも駒木根演じるぽっちゃりは、例によって男たちから侮られ、女たちからバカにされる。しかし『SR』の小暮同様に、彼をちゃんと見つけてくれる女性もいる。

彼女との出会いによって、彼はみるみるうちに成長し、喩えるならサナギが蝶になるように、アヒルの子が白鳥になるように、少年から大人の男へとトランスフォーメーション! これもまた、大きな身体に蚤の心臓的なギャップがあるからこそ、その変身ぶりにぐっとくる。胸つかまれる。ときめかされる。

傷つきやすくて繊細で、そこがまたキュートでもあるピュアネスぽちゃメン――それを演じられるのが駒木根隆介。抱きしめられたい、ではなく逆に、抱きしめたい! その豊満なピュアネスを全身で受けとめたい! たとえ押し潰されるとしても・・・むしろ本望。

一本釣りしたぽちゃイケメンを極私的マッピング。あなた好みのぽちゃメンを探そう!

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『SR サイタマノラッパー』

『SR サイタマノラッパー』 発売中
発売・販売元:アミューズソフト
価格:3,800円(税別)
(c)2009 ロサ映画社/ノライヌフィルム

記事制作 : Avanti Press

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