【ハリウッド★トレンド通信 Vol.7】 ハリウッドセレブもときめき中! 日本の“こんまり流”片づけ術

コラム

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文=ロサンゼルス在住ライター 町田雪

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goopの創始者である女優のグウィネス・パルトロー(写真は、昨年、アカデミー主催の映画衣装イベントに出席したときのもの)
Photo by:Jordan Murph / (C)A.M.P.A.S.



米女優グウィネス・パルトローがプロデュースするライフスタイル・ウェブサイト「goop(goop.com)」が、日本の片づけコンサルタントの近藤麻理恵さん(通称こんまりさん)が執筆した「人生がときめく片づけの魔法(英語タイトル:“The Life-Changing Magic of Tidying Up: The Japanese Art of Decluttering and Organizing”)」を大フィーチャー。どうやら今夏、同サイトを運営する女性陣の間で“ときめき片づけ”がブームとなっており、その流れはジェニファー・アニストンやリース・ウィザースプーンら人気セレブたちにも伝染しているようだ。

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近藤麻理恵著「人生がときめく片づけの魔法」のアメリカ版表紙



現在30もの国と地域で出版されている同著はアメリカでも注目され、こんまりさんは、米TIME誌が選ぶ「最も影響力のある100人」にも名を連ねている。それも納得。この国はとにかくモノに溢れ、質より量を優先するケースが圧倒的に多い。なんでもとっておかずにはいられない「パック・ラット(いろいろと巣に貯めこむ習性のあるモリネズミ=収集癖のある人)」や、モノに囲まれていないと不安になる「ホルダー(なんでも貯めこむ人)」といわれる人々のバラエティやドキュメンタリー番組ができるほど。片づけができないのではなく、片づけの存在を知らないと思われる、スーパーおおらかな人も多い。

こうしたなか「goop」は、「ミニマリズムという価値観が薄い私たちアメリカ人が、超厳格なコンドウ流片づけを紹介するのは、とても画期的なこと」と前置きしたうえで、同書を紹介。確かに、「必需品ではないけれど、気分を上げてくれる、ちょっとリッチなこだわりアイテム」を並べた「goop」で、片づけを推奨するなんて矛盾している気もする。が、グウィネスを始め、ファッションやビューティー、メディア界をリードする女性たちは、単に不用品を捨てるのではなく“ときめき”部分に魅かれたらしい。「コンドウ・メソッドは、まるでタチの悪い夏風邪みたいに「goop」スタッフ内で伝染し、誰もが慌ててクローゼットのなかのモノを、ひとつ残らず、ときめき診断しました」。すると、各スタッフのクローゼットから、平均7割のアイテムが消えたのだとか。

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グウィネス・パルトローがプロデュースする「goop」で開催された2015クローゼット・セール



さらに彼女たちは、アニストンやウィザースプーン、ジェシカ・アルバ、ステラ・マッカーシーら、親交の深いセレブたちにも、本をプレゼント。その結果、同サイトが毎年行うクローゼット・セールには、魅力的なファッション・アイテムがわんさか出品されることとなった。それぞれのアイテムには思い入れコメントもついている。アニストンが出品したビクトリア・ベッカム・ブランドのノースリーブドレスは「大親友のコートニー(・コックス)のお誕生日パーティに着たものなの」。アルバによるシンシア・ヴィンセントのジャンプスーツは「遊び心があって着心地がよくて、昼夜問わずに使えるお気に入り」。ウィザースプーンによるエリザベス・アンド・ジェームスのバッグは、「子どもの荷物も全部入るし、おしゃれなリュックにもなるスグれもの。去年の夏に重宝したわ!」。パルトローが未練を振り切ったステラ・マッカーシーのショート・ジャンプスーツは、「困ったときの1枚として長年活躍してくれたから、手放すのがつらいけど、きっと誰かの役に立つと信じて。仕事のランチにはフラットシューズ、ディナーパーティにはヒールと合わせてね」。

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最近、米南部スタイルを発信するファッション・コレクション「ドレイパー・ジェームス」を立ち上げたリース・ウィザースプーン(写真は、昨年、第6回ガバナーズ・アワードに出席したときのもの)
Photo by:Aaron Poole / (C)A.M.P.A.S.



これらのアイテムの売り上げはすべて、養子に迎えられた子どもたちの権利を守る「Children’s Rights」、教師による教育環境向上を支援する「DonorsChoose」という2つのチャリティ団体に寄付されるという。

そう、消費大国のアメリカには、ドネーション大国という顔もあるのだ。使用済の家具や服、靴、おもちゃなどを寄付できる「Goodwill(グッドウィル)」や「Out of Closet(アウト・オブ・クローゼット)」といったドネーション・ストアが各地にあるほか、スーパーマーケットの駐車場や通りの角には、かなりの確率で、車で気軽に立ち寄れるドネーション・ポストがある。ホリデーシーズンには、オフィスビルのロビーに、身寄りのない子どもたちへのクリスマス・プレゼントとなるおもちゃや絵本のドネーション・ボックスが設置されることも多い。チャリティの目的は、雇用や教育支援、ホームレスの人々のサポートなど様々だが、自分が使わなくなったアイテムを誰かが愛用してくれ、さらに、少しでも何かの役に立てるのであれば、こんなにステキなことはない。もちろん、自分が掘り出し物を見つけることもある。

中古品のリユースもあたり前で、毎週末、必ずといっていいほど、近所のどこかの家でガレージセールが行われ、使わなくなったモノを直取引できるクラシファイド・サイト「Craig’s List(クレイグス・リスト)」なども日常的に使われている。個人的には、友達が回してくれるベビー用品や子ども服のおさがりにとても助けられており、子どもたちの服を買ったことがほとんどない。経済的に助かるのはもちろん、自分ではなかなか選ばないデザインの服を着せることができたり、何人かの子が着回したために、いい感じに着心地がよくなっていたり、いいことだらけ。本当に感謝している。

こんまりさんには頭が上がらないが、私もかなりの片づけ好きなので、毎月のようにクローゼットを整理しては、服やバッグ、小物などを、まず友人に、残ったものは、ドネーション・ストア(寄付窓口)にと届けている。愛着がありつつも手放そうと決めた服は、「○○で買って、○○のときに着たら、みんなにどこで買ったの? って聞かれるぐらい好評だった」や「○○と合わせると、すごく使えるし、○○ちゃんなら絶対似合うはず」などと、とことん語り尽くし、迷い顔の友人に押し売り(ならぬ、押し渡し)して、自分を納得させる。goopスタッフや女性セレブたちのアイテムとは格違いなのだが、思い入れを語ることで未練を希望に変える手法は一緒だ。そして、しぶしぶ着てみてくれた友人に似合っていたりすると、気分は最高。片づけのモチベーションがまた上がるのだ。

こう考えると、ドネーション文化が根づいているアメリカには、片づけの素地が整っているのかもしれない。あとは意識次第。ハリウッド・セレブもお熱のときめき片づけ術が、アメリカをどう変えるのか? こうご期待である。

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「片づけコンサルタント」近藤麻理恵(konmari)公式サイト
記事制作 : Avanti Press(外部サイト)

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