ブルボンヌの新作映画批評 第3回『進撃の巨人』

コラム

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神原作の実写化、これは成功!
キモかわな巨人たちだけでも必見よ

1(メインカット)

アタシ、強めなビジュアルに似合わず緊張しぃなもので、大舞台の出番前に、「人」って書いてパクパク食べてたことがあるんですよ。そしたら、「女型の巨人」って言われましてん。そりゃ、体の一部を硬質化する能力もあるけどね!(聞いてない)
というわけで、あの人気コミック/アニメがついに実写化。最初に発表されていた中島哲也監督のファンなアタシとしては、降板以降、気持ちが盛り下がっていたので、正直言えば「あまり期待しないで」観に行ったの。だって、アクション込みな日本の名作コミックって、アニメ化まではうまくいくんだけど、実写になるとショボーンってのが多いでしょ。(最近も『寄○獣』がそんなかんじ…)

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そしたら!ありがたいことに予想を思い切り裏切られましたよ。まず、このテの作品が避けて通れない「原作の雰囲気を壊さずに実写化できているか」って点については、土埃感のある世界も、人気キャラたちの再現もお見事なデキ。三浦春馬くんの熱血アニメ口調は主人公にピッタリだし、心配だった水原希子ちゃんのミカサもクールにこなせてる。とくに原作でも際立ってたハンジのキチっぷりを、嬉々として演じる石原さとみちゃんがMVP。元から唇ファンでしたが、ますます好きになったわ。実際、美人女優が美人を封印して演じるキワキャラって、一番演技力を評価されやすいもの(シャーリーズ・セロンとかが得意なやつね)。最近清純寄りが鼻につく日本の若手女優たちも、これにならって、どんどん頭おかしいキャラで弾けてほしいものです。

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そしてこの実写化で、コミック/アニメ以上の魅力でブチ切れてるポイントが、ある意味ほんとの主人公とも言える「巨人」たちね!もう、こんなにグロくて薄気味悪くて、でもなんか愛らしい実写キャラクターって、世界的に観ても高水準な部類だと思うの。アタシの場合、ゲイの友人が、麿赤兒先生率いる前衛舞踏集団「大駱駝艦」メンバーだったり、新宿2丁目のデブ専ナイトのオーガナイザーだったりするので、なんとも慣れ親しんだ肉感と動きのステキな面々でしたよ。それが、本当に美味しそうに小さな人間たちを2時間食べ放題してくれるなんて。この巨人お食事シーンの数々だけでも実写版を劇場で観る価値はあると思います(テレビじゃ流せない)。

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もひとつツボだったのが、きっと脚本の町山智浩さんによるところが大きいであろう、B級ホラー感。けっこうな人数のオリジナルキャラの多くが、スケベオンナや半狂乱ぶち壊しというあるあるをかましてくれて、その末路もお約束なかんじ。考えてみると原作の時点で、壮大かつシリアスなテーマの中、脱力感やマヌケさがいい味を出していたわけで、このへんのお安いくらいの演出は個人的に大アリ。パニック設定下で暴れる女キャラたち、大好物よ~。もちろん、リヴァイ兵士長の不在を埋めるべく投入された長谷川博己さんの存在感もお見事。こういうアニメキャラっぽい演技には舞台畑の俳優さんの見栄の切り方が本当にハマる!と改めて感服いたしました。

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クライマックスの高まり方と次回作へ繋ぐ演出も、もう完全にエヴァンゲリオンのそれとシンクロして、客層よく分かってるわーなニヤニヤ感。これ、絶対後編も観たくなるでしょ。原作ファンはもちろん、海外のB級ホラー、モンスター映画好きにもオススメの、実写化成功例作品でございました!

前篇『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』
後篇『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』

2015年8月1日・9月19日連続公開
(C)2015 映画「進撃の巨人」製作委員会
(C)諫山創/講談社


  • burukimono

ブルボンヌ
女装パフォーマー/ライター

新宿二丁目にある『Campy! bar』をプロデュースしている他、『はみだし しゃべくりラジオ キックス』(山梨放送YBSラジオ)金曜メインパーソナリティ、『ハートネットTV』『週刊ニュース深読み』(共にNHK)、BSスカパー『チャンネル生回転TV ALLザップ』などに出演。大学特別講義の講師、企業内LGBTに関するセミナーMCも務める。


記事制作 : ブルボンヌ(外部サイト)

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