『日本のいちばん長い日』役所広司&松坂桃李 インタビュー

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8月15日を境に全く違う国民になった日本人

『日本のいちばん長い日』役所広司&松坂桃李 インタビュー

『日本のいちばん長い日』の予告動画

太平洋戦争末期、戦況が絶望的となった1945年4月から運命の8月15日までを克明に描いた『日本のいちばん長い日』。映画初共演の二人、阿南惟幾陸軍大臣役の役所広司と畑中健二陸軍少佐役の松坂桃李が、あの激動の時代について語った。

映画『日本のいちばん長い日』は8月8日より全国公開

取材・文: 轟夕起夫 写真: 杉映貴子

精鋭・原田組のスタイルとは?

Q:ダイナミックな群像劇が得意な原田眞人監督ですが、この『日本のいちばん長い日』の撮影現場ではカメラを何台くらい使っていましたか?

役所広司(以下、役所):移動撮影用のステディカムも入れて、3、4台はありましたね。

松坂桃李(以下、松坂):カメラに囲まれていても、基本的に自分がどこから撮られているのか、全くわからなかったです。どのシーンも原田監督は、最初から最後まで全部芝居を流れで撮ってくださるので、そんな余裕などなくなる。つまり、俳優がカメラの存在を気にしなくてもいいような撮影環境を用意してくれるんです。役所さんが『KAMIKAZE TAXI』で初めて原田組に参加されたときはどうだったんですか?

役所:カメラは1台しかなかったね。それも16ミリのカメラだけだったよ。

松坂:そうだったんですか!

Q:『KAMIKAZE TAXI』のときは原田監督、インディーズでの製作だったんですよね。

役所:今や押しも押されもせぬ大監督です。今回、戦後70年の節目に、原田組のこの歴史超大作に参加できてとてもうれしかったです。

松坂:僕は、原田組はもちろんのこと、戦争映画への出演自体初めてでした。

Q:お二人とも、現場に入る前はどのような準備を?

役所:頭を丸めることと、監督から与えられた膨大な資料を読むことでしたね。

松坂:僕も丸刈りになって、資料を読み込み、台本には難しい用語、言い慣れない言葉がたくさん出てくるので自分の中にしっかりなじませ、それから軍事訓練も受けて・・・と、やるべきことが山積でした。

『日本のいちばん長い日』役所広司&松坂桃李 インタビュー

偏った教育を受けていた当時の若者たち

Q:この映画の軸の一つに、お二人が演じられた陸軍大臣・阿南と陸軍少佐・畑中との激しい対立劇がありますね。

役所:松坂くんが演じた畑中ら青年将校たちの行動、具体的には国の行く末を思い、クーデターを企ててしまうんだけど、純粋に生きようとする姿に美しさを感じました。

松坂:本当に純粋ですよね。疑うことを知らずに、ただただ上層部の言葉を信じて突き進んできた。日本が戦争に負けるなんて露ほども考えていない。ところが、信じてきたものがあるとき全て崩れ去ってしまう。

役所:本はといえば、上官である阿南たちが手塩に掛けて育てたエリート、軍人の模範だった。だけど国民の命、民族の存続のため終戦を受け入れた「昭和天皇のご聖断」が下されて、決起した彼らを阿南は抑えようとする。演じていて、とても複雑な心境になりました。日本にとって不可欠な存在だったのに、不必要とされてしまった。何の疑いもなく行動し、散っていったあの時代の若者たちを見ると胸が痛みます。

Q:松坂さんはどう感じました?

松坂:畑中にはどこか、裏切られた気持ちもあるかもしれないです。でも、阿南さんは本当に先のことを考えていた数少ない軍人の一人ですよね。山崎努さんが演じられた鈴木貫太郎総理や、本木雅弘さんが見事に体現された昭和天皇も。畑中たちって目の前のことしか考えていなかったと思うんです。

役所:うーん・・・とはいえ、仕方ない面もある。

松坂:ええ。畑中たちは当時、偏った教育を受けていたので、自分で考え、発言する自由を手に入れていなかったんです。そういうことが許される立場ではなかったんですよね。

Q:それが「1945年8月15日」で大きく変わりますね。

役所:その日を境に、日本人は全く違う国民になった気がする。逆を言えば、この日までの男たちは、目には見えないけれどまだ腰に刀を差している。侍に近いメンタリティーを持っていた。

松坂:現に、阿南さんは切腹を選びますからね。いざ切腹を始めて、義弟の竹下中佐が「介錯(かいしゃく)を致しましょうか?」と言葉を掛けると、阿南さんは毅然と「無用だ、あちらへ行っておれ」と答える。その意志の力がすごくて、心底ゾッとしました。

『日本のいちばん長い日』役所広司&松坂桃李 インタビュー

松坂桃李は役所広司より苦労知らず!?

Q:阿南が切腹したときは58歳、役所さんが現在、59歳でほぼ同じ年なんですよね。

役所:ええ。ですから撮影当時は一緒でした。阿南は、あの戦争で生き残った若者たちが日本の未来をつくっていくと信じていたんですね。だからクーデターは何としても避けたかったはず。

Q:松坂さんは今年、27歳になられるそうで。27歳というと、役所さんはNHK大河ドラマ「徳川家康」に出演された頃ですか?

役所:そうですね。

松坂:27歳で家康役ですか!

役所:いやいや、あのときは織田信長役で。

松坂:すごいです。

役所:役者ではほとんど食えていなかった時期です。松坂くんはひっきりなしに仕事が入ってきて、お金持ちだろ。俺はそうではなかったんだよ(笑)。

松坂:そっ、そんなあ・・・(苦笑)。

役所:初めてたくさんのセリフをもらったドラマでしたね。NHKで催されたイベントでサイン会があって、ちょっとまとまったお金をいただいて、それで何とか食いつないでいた。あれからようやくバイトをしなくても食えるようになったのかな。振り返ればまあ、自分は苦労知らずなほうだったと思うけど、松坂くんはもっと苦労知らずだろ(笑)。

松坂:す、すみません、もっと苦労をするようにします!


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記事制作 : シネマトゥデイ(外部サイト)