【ダレコレ~Dare Collection~ vol.6】網膜に焼きつく“顔”力!でも愛嬌あるのよ、奥野瑛太。

コラム

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 文=熊坂多恵

『ラブ&ピース』

スクリーンで見かけた、なんだか気になるあの人は誰? 好きかどうかは別として、なんだか忘れられない彼、その正体に迫る「ダレコレ~Dare Collection~」。今回は映画『ラブ&ピース』より、一度見たら忘れられない、網膜に焼きつくほどの顔力を持った俳優・奥野瑛太に、こっそり(怖いので・・・)接近してみます。

『ラブ&ピース』

(C)「ラブ&ピース」製作委員会

『ラブ&ピース』で奥野が演じるのは、主人公で会社でもいじめられっぱなしの地味なサラリーマン・鈴木(長谷川博己)が、街で出会うギタリストのシュウ。登場シーンからしてすごい。駅前の通路のベンチで、この映画のキーとなる“カメちゃん”をモチーフにしたギターをかきならし歌っている奥野は、長髪で皮ジャン、ブーツカットのジーンズをはいた“ザ・ロッカー”な風体。そしてなによりその顔、目鼻立ちがハッキリしすぎというか、目鼻口のパーツがデカイというか・・・でもなかなかのイケメンなのだ。声もかなりデスメタルな感じで、「怖い」ような「甘い」ような独特のしゃべり方。バグーっと食いつかれそうな迫力と、不思議な愛嬌のある人だ。

ペットのカメを失い、茫然自失の鈴木は、シュウのカメギターにすがりつき、ワイルドに足蹴にされる。その後、シュウがふざけて自分たちのライブで鈴木を歌わせようとしたことをきっかけに、2人はバンド仲間となり、Revolution Qとしてデビュー、一躍人気スターとなるのだが・・・。

この作品で奥野は、よくも悪くも単純で人が良く、ノリで生きている若者の大味な感じをオーバーなリアクションで好演。ある意味、長谷川が演じる自意識が空回りして挙動不審、人間不信になる主人公とは対極にある人物を演じている。その存在は、観客、少なくとも筆者を潜在的に安心させてくれた。普通に見えておかしい人よりは、おかしく見えて普通の人の方がいい。

『ラブ&ピース』

(C)「ラブ&ピース」製作委員会

うさんくさいけれど、現実を生きるのに強そうな人、という意味では、染谷将太や綾野剛出演の反逆のロック映画『ソレダケ/that’s it』で一瞬だけ登場する奥野の存在感もそれに近いものがある。彼が演じるのは、戸籍ブローカーの布袋。染谷演じる主人公の大黒に、おかしな合言葉で呼ばれ、振り向いたその顔が、モノクロの画面で最高に威力を発揮していた。その美しくて怖い顔で、サクっと大黒をだます邪気のない表情と、生きるために手段を選ばない迷いのなさ。短髪で、ピタピタのスーツ姿もクールでかっこよかった。

かっこよさでいえば、映画『クローズ EXPLODE』(2014)のガクランヤンキー、だけど結構おしゃれ、な奥野もよかった。ヤンキーの頂点を目指す高校男子たちの壮絶な戦いを描く『クローズ』シリーズ最新作で奥野が演じたのは、舞台となる鈴蘭高校の最小チームに属する、気は短いが性格のいいヤンキー、モモこと桃山春樹。長髪をおしゃれにまとめ、サングラスをヘアバンドがわりにひっかけ、くわえタバコで歩く姿は、デカくてコワモテのヤンキー軍団の中ではなんだかキュートに見えるほど。勝地涼が演じるチームのリーダーとともに、ライブハウスで無邪気にシャウトしてケンカ、風呂屋で大騒ぎしてケンカ、結局いつでも最後はケンカになり、そのたびに簡単にやられてしまう、情けなくもかわいげのあるヤンキー役であった。

そんな奥野が本格的に映画の世界に足を踏み入れることとなったのが、2008年、入江悠監督の異色作『SR サイタマノラッパー』。日大の映画学科に在学中からインディペンデント映画に出演し、卒業後は劇団「赤堤ビンケ」の公演ほか舞台に出演、ダンサーとしても活躍していた奥野は、そのシリーズ3作目『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(2012)では主人公となるラッパーのマイティ役を演じている。

『サイタマノラッパー』では、埼玉でブロッコリーを収穫しながらプロのラッパーを目指す、ガラもののジャージにグラサンをかけた度肝を抜くファッションの“ブロッコリーラッパー”マイティだったが、『ロードサイドの逃亡者』では、仲間と別れてひとり上京、人気ヒップホップグループのパシリをやりながらステージに上がる日を夢見る哀愁あふれる役となった。結局、マイティは夢破れ、タイトル通りの逃亡者となり、どんどん堕ちていく。その汚れ方にも哀しいリアリティを感じさせた。その一方で、MCバトルや、場末のバーのカウンターの上で即興でダンスを踊るシーンなどのパフォーマンスのかっこよさ、華やかさ、そして逃げるシーンの走りっぷりのよさなど、身体表現のスキルの高さも目を引く。顔だけでなく、体での表現力もバツグンである。

最近では映画はもちろん、テレビドラマでも活躍する奥野。かっこいいけど情けない、迫力あるけど愛嬌もある、そんな二面性が魅力でもあるが、まったくスキのない超絶クールでかっこいい役も、見てみたい気もする。どんな役にせよ、思わずこっそり二度見してしまう迫力のある顔と、引き込まれずにはいられないキレのいい身体表現で、もっともっと見る人を驚かせてほしい。

『ラブ&ピース』

『ラブ&ピース』
6月27日(土)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国公開
公式サイト: http://love-peace.asmik-ace.co.jp/
監督・脚本:園子温
特技監督 :田口清隆
出演:長谷川博己、麻生久美子、西田敏行ほか
配給:アスミック・エース
(C)「ラブ&ピース」製作委員会

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)

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