【ダレコレ~Dare Collection~ vol.9】「アリー my Love」の歌声に『X-メン』の眼力 悩殺力抜群のジェームズ・マースデン

コラム

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文=那須千里

『かけがえのない人』
ジェームズ・マースデン
『かけがえのない人』
(c)2014 Best of Me Productions, LLC All Rights Reserved

今年の夏休み映画として日本でも公開11日間で動員200万人を突破した『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』。公開に先がけてプロモーションで来日した主演のトム・クルーズは、本作でもスタント無しで飛び立つ軍用飛行機にぶら下がるアクションをこなすなどのプロ根性を見せ、長きに渡って第一線で活躍するスターとしての健在ぶりをアピールしています。

そんなトムの映画を幼い頃から見て憧れていたというのが今回の主役、1973年生まれのジェームズ・マースデン。トムのファンだけあって甘く悩ましげな眼差しが魅力的ですが、その悩殺力を見込まれてか、『X-メン』(00)シリーズでは目から破壊ビームを出すミュータント(突然変異体)のサイクロップスを演じています。目を開けているだけで視線の先にあるものを容赦なく破壊してしまうため、劇中ではほぼゴーグルで両目を覆っているという俳優としてはなかなか厳しいハンデを負いながらも、X-メンたちのリーダーとして堅実な存在感を放つ姿を覚えている方も多いでしょう。

『かけがえのない人』
ジェームズ・マースデン(左)とミシェル・モナハン
『かけがえのない人』
(c)2014 Best of Me Productions, LLC All Rights Reserved

ジェームズことジミーは過去にTVドラマ「アリー my Love」で日本のお茶の間にも進出しています。ヒロインの女性弁護士アリーの前に若手イケメン弁護士として登場し、アリーの心を振り回したりもする年下男のグレン役ですが、注目すべきはその歌声。劇中ではエルヴィス・プレスリーも歌った「Always on My Mind」などの楽曲で美声を響かせており、このドラマへの出演もプロデューサーに歌唱力を見込まれての抜擢でした。その後もディズニーのミュージカル映画『魔法にかけられて』(07)で自慢の喉に加えて舞踏会ダンスを、さらに人気ブロードウェイミュージカルを映画化した『ヘアスプレー』(07)では、歌だけでなくダンスもイケることをあらためて証明しました。

歌って踊れて顔もよしとハイスペックなジミーですが、彼の強みはひとつのイメージにとらわれない柔軟さです。たとえば『魔法にかけられて』では、おとぎの国から追放されたプリンセスを追って現代のニューヨークにやって来るエドワード王子を熱演していますが、アニメから実写になるという設定もあって、この王子が正真正銘の王子様でありながらなんとも三枚目なキャラクター。ジミーは巨大なパフスリーブのプリンスコスプレで、表情が豊かという表現をはるかに超えた大胆な顔芸を披露していますが、もともとの顔立ちがしっかりしているだけに滑稽さが際立ってコメディアンとしてのポテンシャルをひしひしと感じさせます。それでいて、せっかく連れ戻したフィアンセのプリンセスを別の男に奪われても彼女の幸せを願って潔く身を引くという、何ともいいヤツなのがまた心憎いです。

『かけがえのない人』
ジェームズ・マースデン(左)とミシェル・モナハン
『かけがえのない人』
(c)2014 Best of Me Productions, LLC All Rights Reserved

黙っていれば正統派のイケメンでありながら、どこか人の良さと愛嬌がにじみ出ているようないでたちのせいか、恋愛では報われない役どころの多かったジミー。『きみに読む物語』(04)でも婚約者を元カレに略奪されてしまっていて、そんなところもまた応援したくなるキャラです。『きみに読む物語』と同じニコラス・スパークスの原作を映画化した『かけがえのない人』(14)のドーソン役では今度こそ念願の愛を掴ませてあげたい・・・というのはファン心理ですがそこはクセ者ジミー、一筋縄ではいきません。

もともと『ワイルド・スピード』(01)シリーズで人気だったポール・ウォーカーが演じることになっていたドーソン役がジミーの元にやって来た背景にはポールの急死がありました。ジミーはすべてを知った上でこの役を引き受けます。犯罪者の息子に生まれ、不幸な事故から結ばれることが叶わなかった初恋の彼女と20年ぶりに再会して愛を蘇らせるドーソン。女性に夢を見させる甘いマスクとともに、一歩一歩着実に年齢とキャリアを重ねてきたジミーの生き様が、役の抱える複雑な過去と内面に深みを与えています。ジミーらしいその結末はぜひ本編でお確かめください。

41歳にしてミュージカルからロマコメ、アメコミにスリラーと実に多彩なジャンルのフィルモグラフィを誇るジミー。演じた役柄もミュータントにおとぎ話の王子にケネディ大統領、また日本アニメ『かぐや姫の物語』(13)の英語吹替版では石作皇子を担当するなど七変化ですが、ヒロインや女性キャラクターの相手役として並々ならぬ爪痕を残しているのは見逃せないポイントです。自分が光るばかりでなく、共演者を魅力的に輝かせることのできる演技力も各方面で重宝される所以でしょう。私生活ではバツ一で二男一女のパパという顔も持つジミー。これからますます脂の乗ってくる40代、トム・クルーズの後継者としても惜しみないエールを送りたいです。

『かけがえのない人』

『かけがえのない人』
8月22日(土)より YEBISU GARDEN CINEMA他 全国順次公開
配給:ブロードメディア・スタジオ
原作/製作:ニコラス・スパークス(『きみに読む物語』)
監督:マイケル・ホフマン(『終着駅 トルストイ最後の旅)
出演:ミシェル・モナハン、ジェームズ・マースデン、リアナ・リベラト、ルーク・ブレイシー
(c)2014 Best of Me Productions, LLC All Rights Reserved

記事制作 : Avanti Press(外部サイト) 

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