【ハリウッド★トレンド通信 Vol.9】全米が焦がれたフィリップ・フィリップスって? 24歳の男性シンガー・ソングライターが日本デビュー

コラム

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文=ロサンゼルス在住ライター 町田雪

J. Loが酔いしれたセクシーボイスの彼は?
米リアリティ番組「アメリカン・アイドル」の第11シーズン覇者となったフィリップ・フィリップス

「体に電流が流れているみたい」とジェニファー・ロペスが唸り、スティーヴン・タイラーが「本物だね」と目を閉じて酔いしれた。オーディションの段階から輝きを放ち、見事、米リアリティ番組「アメリカン・アイドル」の第11シーズン覇者となった24歳のシンガー・ソングライター、フィリップ・フィリップスが今夏、日本でデビューする。

あどけなさすら漂う涼しいハンサム顔ながら、マイクから聞こえるのは、しわがれ声ともいえそうな深いハスキーボイス。米ジョージア州の故郷で、父親の質屋を手伝いながら、夜には地元のバーでパフォーマンスを行っていた20歳の青年フィリップが、一躍有名になったのは2012年のこと。初期オーディションでは、スティーヴィー・ワンダーの「迷信」をアカペラで、マイケル・ジャクソンの「スリラー」をギターとともに熱唱し、オリジナリティと気迫あふれるパフォーマンスに、ロペスとタイラーが冒頭のコメントで降参した。

そのパフォーマンス・スタイルが、ロックバンド「デイヴ・マシューズ・バンド」のボーカル、デイヴ・マシューと似ていることが話題となるなか、当のマシューが「どんどん力をつけてほしいね。受けて立つよ。俺を負かした日には、バンドを引き継いでほしい」と激励したというこぼれ話も。「アイドル」コンテスト中には腎臓結石が見つかるも、決勝まで闘い続けたガッツの持ち主でもある。見事、全米の視聴者から1億3200万票を獲得して優勝したあとの記者会見では、南東部訛りの無骨ながら明るい応答に、すっかり惹きこまれたものだ。

その後、ファーストシングル「ホーム」、映画『アメイジング・スパイダーマン2』の劇中歌にもなった「ゴーン、ゴーン、ゴーン~ずっと君のために」、デビューアルバム“The World from the Side of the Moon”と、すべてが全米チャートのトップ10入り。昨年5月には、セカンド・アルバム“Behind the Light”がリリースされた。2012年のMLBオールスターゲーム、ホワイトハウスのナショナル・クリスマスツリー点灯式でもパフォーマンスを行うなどの活躍を見せている。

『アメイジング・スパイダーマン2』作品詳細

ファーストシングル“HOME”

フィリップの魅力はなんといっても、その太いハスキーボイスと、音楽が足の先から頭の上まで駆け巡っていくような強くて深いパフォーマンス。見とれてしまうほどきれいな目が、ときに物悲しく、ときに鋭く、何かにとりつかれているかのように変化する瞬間にもドキリとさせられる。米「ビルボード」誌はレビューのなかで、「マムフォード&サンズからヒントを得て、デイヴ・マシューズ・バンドのテイストを加えた」「コールドプレイをほうふつとさせる」と表現しているが、個人的には賛同。それでいて、ジェイソン・ムラーズのような抜け感があるところも好きだ。

「アイドル」出身者のなかでも指折りの活躍をしているフィリップだが、音楽への愛と真剣さゆえに、「アイドル」側と袂を分かつべく動いた張本人でもある。番組プロデューサーであり、出演アーティストの権利を管理する米制作会社との契約を破棄すべく、カリフォルニア州労働委員会に契約違反の申し立てをしたのだ。その理由は、同シリーズのオーディションに行っている段階から、同社や番組の利益のために、自身の音楽やキャリアを不当にコントロールされてきたというもの。具体的には、スポンサーである航空会社のために無料コンサートを強要された、自身のアルバム・タイトルを勝手に決められたなど、数多くの例をあげている。

自身に大きなチャンスをもたらした番組やファンに永遠の感謝を誓いつつも、自身でキャリア決定を行う自由と、ファンにいい音楽を作り届ける環境のために、声をあげた形だ。音楽界に限ったことではない、ビジネスとクリエイティビティ、マネジメント側とアーティストの間に、必ず発生してくる不協和音。それでも沈黙しない姿勢は、「歌がうまいとは思わないが、とにかく音楽が好き。仲間たちと一緒にパフォーマンスすることが楽しくて仕方ない」と目を輝かせた20歳の頃の想いの表れだと受け取りたい。

昨年末には長年の恋人と婚約し、私生活でも絶好調のなかで日本に進出するフィリップス。日本デビューアルバム「フィリップ・フィリップス」は8月19日にリリース予定だ。全米が焦がれた音楽をぜひ、聴いてみてほしい。

J. Loが酔いしれたセクシーボイスの彼は?

日本デビューアルバム:
「フィリップ・フィリップス」[The World from the Side of the Moon]
UICS-1298 2200円(税別)

シングル:
「ゴーン、ゴーン、ゴーン~ずっと君のために/ GONE, GONE, GONE」
好評デジタル配信中
iTunes / Mora / レコチョク

フィリップ・フィリップス(ユニバーサル ミュージック)公式HP

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)