ブルボンヌの新作映画批評 第4回『テッド2』

コラム

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人工授精と人権裁判に挑む
ラリパッパお下劣クマたん!

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Tippett Studio/Universal Pictures and Media Rights Capital

前作『テッド』は大好き映画。なんたって、マーキー・マークとしてカルバン・クラインのパンツモデルをしてた頃から、いやらしい目で見守り続けてるマーク・ウォルバーグたんが主演。そして真の主役は、スケベでラリパッパなクマのぬいぐるみってんだから、そりゃたまりませんよ。ちなみにゲイ業界では日本でも海外でも「クマ系」「BEAR」なんて言って、毛深くムチムチした熊っぽいタイプの男性は一大人気ジャンルなの。つまりテッド&ジョン(マークの役名)のコンビは、そのビジュアルだけでゲイ業界のアイドル。その上、大人になりきれない男子の心の成長や、種族?を超えた友情もきっちり描いた前作は、見事、世界中で驚異的な大ヒットを記録したのでした。

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Tippett Studio/Universal Pictures and Media Rights Capital

そんな二人が帰ってくるとなりゃ、観なくちゃでしょ。ミラ・クニス降板はちょっぴり寂しかったけど、アマンダ・セイフライドなら十分すぎる新ヒロイン!アマンダが演じる役は新米弁護士で、ラリラリで意気投合しながら挑むのは、なんと「テッドの人権裁判」ってんだから、おバカ映画の続編のテーマとしてはかなりシリアスじゃないの?
この、「人間なのか所有物なのか」というテーマは、つまり白人の所有物・奴隷だった黒人の人権運動にそのままつながります。劇中にも、クンタ・キンテで有名な、70年代に社会現象となったテレビドラマ『ルーツ』が登場するし、さらにテッド本人のセリフにもあった通り、性的少数者の権利運動も連想させる。お下劣グマがまさかの、マイノリティの代表となって裁判劇を繰り広げちゃうってこと。
なんだそんなマジなテーマじゃ笑えねえじゃん、という心配はご無用よ。むしろそのマジメなメッセージが吹き飛んでしまうくらい、前作以上にヒドいギャグのオンパレードでした。NFLのスーパースターのトム・ブレディが本人役で登場して神々しいイチモツをネタにされたり、精子バンクで大量ブッカケ事故にあったり、初デートで観る映画としてはハードル高過ぎなシモネタが続出!(アタシはもちろん大好物よぉ)

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Tippett Studio/Universal Pictures and Media Rights Capital

シモネタ以外のギャグもてんこ盛りですけど、元ネタがアメリカベースのエンタメ情報をわかっててナンボなところが前作以上にあるから、このへんはとくに海外ショウビズ通の方にオススメよ。わかりやすいところでは、「アマンダ・セイフライドって美人だけど、よく観たら『ロード・オブ・ザ・リング』の指輪大好きなアイツに似てね?」という素晴らしい発見!そしてオタクの祭典『コミコン』会場を再現してのクライマックスシーンね。ドラゴンボールの悟空から、ニンジャ・タートルズ、『チャイルド・プレイ』のチャッキーまで大暴れ。

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Tippett Studio/Universal Pictures and Media Rights Capital

正直言うと、シモネタだらけでうれしい人工授精ネタや、オタク心くすぐるパロディネタが詰め込まれた分、挑戦したはずの「少数派の人権」テーマがとっ散らかってしまった面もあり。でもまぁ、そこを何もテッドに求めるのも酷ってもんよね。それでも、モーガン・フリーマンがあの顔で語り出しちゃうと、その瞬間だけはアカデミー賞候補のヒューマン映画を観てる気になる不思議・・・。
前作ほどのパンチはないものの、ギャグの量と悪質さ(褒め言葉)、エンタメマニア受けなニヤニヤ感は増してるし、おバカ映画なりにマイノリティ問題を仕込んでくれた心意気も好きよ。そして何より、テッドが変わらず可愛かった。あーん、テッド、うちにも来ないかな~!(絶対ラブドールにされる・・・)

『テッド2』

2015年8月28日(金)全国ロードショー
配給:東宝東和
R15+


  • burukimono

ブルボンヌ
女装パフォーマー/ライター

新宿二丁目にある『Campy! bar』をプロデュースしている他、『はみだし しゃべくりラジオ キックス』(山梨放送YBSラジオ)金曜メインパーソナリティ、『ハートネットTV』『週刊ニュース深読み』(共にNHK)、BSスカパー『チャンネル生回転TV ALLザップ』などに出演。大学特別講義の講師、企業内LGBTに関するセミナーMCも務める。


記事制作 : ブルボンヌ(外部サイト)

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