『サヨナラの代わりに』ヒラリー・スワンク

名作『ボーイズ・ドント・クライ』(1999)と『ミリオンダラー・ベイビー』(2004)に主演し、わずか30歳にして2度もオスカーを手にしたヒラリー・スワンク。今年7月に41歳を迎えた彼女が最新作『サヨナラの代わりに』で挑んだのは、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した女性ケイト。物語に惚れこんだヒラリーがプロデュースも兼ね、主人公ケイトと彼女の介助人になった女子大生ベックとの絆と友情を描き出しました。本作のプロモーションのため、10年ぶり2度目の来日を果たした彼女にお話を伺いました。

Q:病気の父親の面倒を看るため、女優を休業したというニュース記事を読みました。ケイトを演じて、人生観が変わったということはありますか?

演じる役は、私にとって何ものにも代えがたい贈り物よ。ものの見方を広げてくれるきっかけになるわけだから、当然、人生観も影響を受けるわ。役の立場になり、その視点から世界を観ることによって、学び成長していくの。

『サヨナラの代わりに』

Q:現在は女優業に復帰されているんですね?

去年の10月から1年間休みを取ったの。父親の病気が回復したので、こうして仕事に復帰し、日本に来ることも出来たわ。

Q:ハリウッド女優として完璧なキャリアを築いていますが、何か弱点はありますか?

もちろんよ。誰だってあるでしょ?(笑)

Q:例えば、虫が怖いとか?

虫は特に怖くないけど、ワニはあまり好きじゃないわ。フロリダみたいにワニがたくさんいるところに行くのはイヤよ。私が実際に経験したことじゃないけど、小さい頃、ボートに乗っている人がワニに襲われて、水中に引きずり込まれた映像を観て。トラウマになっちゃったんだと思う。

『サヨナラの代わりに』

Q:それは映画のワンシーンですか?

映画ではなく、本物の映像だと思うわ。それと、私は食べることが大好きで、次の食事がいつ出てくるのか気になってしょうがない(笑)。くだらないことだけど、これもある種の恐怖症よね。私はとても楽観的な性格だから、朝起きた瞬間、ハッピーなんだけど、お腹が空くのだけは耐えられない。いつもナッツやエネルギー・バーを持っているわ。私は子供時代に貧しかったから、その名残かもしれないわね。

Q:本作では主演とプロデューサーを兼ねていらっしゃいますが、キャスティングにも関わっていらっしゃるのでしょうか?

ええ、そうよ。

Q:と申しますのも、あなたとケイトの夫を演じたジョシュ・デュアメルとのシャワー・シーンがかなり刺激的で・・・(笑)

分かるわ(笑)

Q:観ている方がドキドキしてしまうほど、濃厚なラブ・シーンでした。オスカー女優でも、濡れ場は緊張するものですか?

自分の恋人ではない相手とラブ・シーンを演じるのは、ぎこちないものよ。もちろん、緊張したわ。演技もしないといけないし。

『サヨナラの代わりに』

Q:限りある命というのは、万人に共通する問題だと思います。もし、ご自身が余命わずかと診断されたら、何をしますか?

悲しむのではなく、生きている瞬間を祝福したいわ。朝起きた時に生きていることを当たり前に感じず、感謝するの。悲観的になったり、イラついたりするのはもったいないと思う。明日、自分の身に何が起こるか分からないんだもの。死ぬまでにこれをやらなきゃ!ということはないけど、毎日が行動するチャンスだと思って精一杯生きたい。そして、最後の瞬間が来たとき、満足だったと思える人生にしたいの。

『サヨナラの代わりに』

Q:子供時代に貧しかった経験もあって、そう考えるようになったのでしょうか?

私とケイトでは状況が全く異なるけど、私は貧しかったことで階級を感じたし、自分をアウトサイダーだと感じていた。その経験が自分を形作っていったの。

Q:つらい経験をどのようにして克服したんですか?

大人になって気づいたの。一番大切なものはお金やステイタスじゃない。そういったことで誰かの価値観を決めるのは愚かなこと。どんな状況下に置かれていたとしても、人はそれぞれ天性の才能や性格を持って生まれているのよ。

メイク:YOSHi.T for MONDO (AVGVST)
ヘア:Ken Yoshimura@AVGVST

取材・文/田嶋真理

『サヨナラの代わりに』
愛情あふれる夫や友人に囲まれながら、誰もが羨むような日々を送っていたケイト。ところが彼女はある日突然、難病・筋委縮側索硬化症(ALS)を発症。病人扱いに耐えきれなくなった彼女は、ALS患者の世話は素人ながら、友人として話を聞いてくれそうな女子学生ベックを介助人に雇用。完璧主義のケイトに対し、料理が苦手で自由奔放な性格のベック。ある出来事をきっかけに、ふたりは次第に心を通わせていく。

11月7日(土)より、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか、全国公開
監督/ジョージ・C・ウルフ 出演/ヒラリー・スワンク、エミー・ロッサムほか
配給/キノフィルムズ
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