クリスマスに一人で見たい男の子の仕草が可愛い映画5選

コラム

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文=高村尚
もうすぐクリスマスですね! 皆さま、どんなふうに過ごされますか?(棒読み)
いつクリスマスの過ごし方が、“幸せ”のバロメーターとなったのか? 全然気づきませんでしたが、どう過ごしたっていいじゃないですか。基本はキリスト教のお祭のひとつ。1人だろうが、2人だろうが、大勢だろうが、寛容な気持ち(=愛)のひとつやふたつ、見せてやろうじゃありませんか。
とはいえ女子よ。本当に1人で過ごすことになったときのために、ほんわか心の潤う映画を傍らに備えておこう。そこにあれば心強いことこのうえなく、下手な他人より頼りになること請け合い! クリスマスとは関係ない作品も交えて、「いやーん、可愛い」と身もだえたり、「なにその姿!」と爆笑しながら癒してくれる、「男の子(おのこ)の仕草が可愛い映画」ご紹介します!

『007 スペクター』Q(ベン・ウィショー)
ツンデレ理系メガネ男子


大ヒット中の『007 スペクター』。亡きM(ジュディ・デンチ)に可愛がられた007ことジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)もキュートだけど、おすすめはQ(ベン・ウィショー)!
英国諜報機関MI6の需品供給課(Quartermaster)勤務だからQ。見た目オッサンだったこれまでのQと比べて断然若い。ベンが最初にQを演じたのは31歳だから、本当に歴代最年少なわけです。
ベンが演じるQは、諜報員それぞれのためにカスタマイズした武器や自動車を開発するだけでなく、ソフトの開発やハッキングをし、PCを武器に自らも敵と戦います。またファッションに疎いコンピュータおたくと思わせて、ビリー・リードのアスターコート、ポール&ジョーのシャツ、アルマーニ・コレツォーニのセーター、Univo U5 C1のメガネと、ヒップスターファッションでばっちり決めてるイマドキおしゃれさん。加えて、ヒップスター必携の最新PCを膝に乗せ、ボンドに翻弄されながらも難題を解決していく姿は実にチャーミング。
前作『007 スカイフォール』では、ボンドに、「あなたが現場で1年かけて与えるダメージ以上のことを、僕はこのラップトップで、一杯目の紅茶を飲み切る前に与えられますけどね」と強気な発言をしてみたものの、結局、いつも押し切られ、言いなりになってしまうところも可愛いわけです。

『(500)日のサマー』トム・ハンセン(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)
幼なじみとのほうが気が楽な天然系男子


誰にでも有頂天になる瞬間はあるもの。自分では、人知れず喜びに浸っているつもりでも、舞い上がったら気持ちはダダ漏れ。抑えがたいものなのです。
建築家になりたかったけど、なぜかグリーティングカード制作会社でカードのコピーを考えているトム(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)。平凡な人生の主役を30数年演じ続けてきたトムが、会社のエレベーターで奇跡と出会う。奇跡の名はサマー(ズーイー・デシャネル)。トムのヘッドフォンから漏れる曲に、彼女は「ザ・スミス、好き」とコメントします。それってまさにトムが理想とするガールフレンド像そのもの! 少女の頃から数々の奇跡を起こしてきたサマーの入社は、平凡なトムの人生にもひと匙分の奇跡を起こしたわけです。
会社のカラオケ大会で一歩踏み込んだ会話をし、コピー室では熱烈キス。これはもう恋愛成立間違いなし! とコクってみたのに、本気で付き合う気はないと言われてしまう。それでもデートの誘いは断られない。映画やレコード店、お気に入りの公園でデートを重ね、出会いから34日目。イケアで新婚夫婦ごっこをした後、ついにサマーとベッドイン!
ぜひ皆さまに見ていただきたいのは、明けた35日目の朝のトムの有頂天っぷり。全能感を湛え、悠々と出社する道すがら、ホール&オーツの「You Make My Dreams」に合わせ、道行く人の祝福を一身に浴びて公園でひと踊り。覗き込んだ自動車の窓に映る自分の姿は、『スター・ウォーズ』のハン・ソロ(ハリソン・フォード)。こんなふうに幸福を全開で主張されたら、誰だって生暖かく見守るしかありません。画面のこちら側で、いつだって飛び込んでこれるよう、両手を広げて。トムの傷つく日がくることは比較的簡単に予測できてしまうから。
恋愛をしてもだ。余裕を見せて賢そうに振る舞おうなんて思ってはいけない。トムのように全力で相手にぶつかり、ことが成就したら全身全霊をあげて喜ぼう。……なんて思ったりしながらね。

『娚の一生』海江田醇(豊川悦司)
大人の男のいっぱいいっぱい


強気な男が見せる間抜けなシチュエーションほど可愛いなものはない。
男の名は、海江田醇(豊川悦司)。52歳、大学教授だ。染色家だった元恋人の葬式で、彼女と一緒に住んでいた孫の堂薗つぐみ(榮倉奈々)にひと目惚れする。離れのカギを預かっていたので、敷地内に居座って、つぐみに熱烈アプローチ。ものの分かった大人のように、「君、みそ汁上手やな。うん。ちょっと味付け濃いけど」とか、「練習や思うて僕と恋愛してみなさい」などと上から目線に言ってみるけれど、いろいろあって会社を辞め、祖母宅で現実逃避中だったつぐみはつれない。
15歳以上、年の離れた女子に、余裕しゃくしゃくなように見えるけど、海江田先生、これがかなりいっぱいいっぱいと見た。上から目線な発言も、遊びのない本音。少女マンガのセオリーではあるけれど、小娘に大人の男が「いっぱいいっぱい」になっている姿に萌えないわけがない。加えて、豊川悦司が前髪さらりの“トヨエツ”に戻り、お約束の「床ドン」、そして「足キス」と続けば、鼻腔に広がるのは、かぐわしき胸キュンの香り。
だが、しかし! お薦めはそんなありきたりの胸キュンではない。いつしか海江田に心惹かれ、彼の周りに見え隠れする女の影に嫉妬したつぐみが、背後から見舞う強烈なキックだ。予告なし、手加減なしの蛮行に、一瞬なにが起きたのか理解できないまま、部屋の片隅へとゴロゴロッと勢いよく転がっていく海江田。この時のトヨエツの表情こそ、ぜひクリスマスの贈り物として皆さまにお届けしたい逸品! 私は腹を抱えて笑いましたともさ。そして次の瞬間、つぐみ同様、海江田にいとしさを感じたわけです。
いくつになってもその年なりのキュートさを身につけているトヨエツ、恐るべし。

『母と暮せば』上海のおじさん(加藤健一)
粗野な男の純情


若くないし、格好良くもないけれど、ぎゅっと胸に抱きしめたくなる愛おしさ。名前はなくて通称・上海のおじさん(加藤健一)。『母と暮せば』は、二宮和也と吉永小百合のほぼ二人芝居の映画なので、ほかの登場人物は短い時間のなかできちんと物語を演じなきゃいけない。だからかなりの演技力が要求されるわけだが、秀逸なのが加藤健一なのだ。
舞台の俳優さんなので全国的な露出は少ないが、ある年齢以上であればドラマ「想い出づくり」(81)や映画『麻雀放浪記』(84)の彼を思い出してもらえるかもしれない。舞台ではつかこうへいの「蒲田行進曲」(80~82年)の銀ちゃんや、ライフワークである一人芝居「審判」などで知られる。いやあ、いい役者なのだ。
こういう人の芝居を映画で見られるのはいい。上海のおじさんは、浩二(二宮)と伸子(吉永)の親戚で、戦後、上海から帰還したものの、長崎に落とされた原爆で妻も子も亡くし、しばらく気落ちしていた。しかし復活するなり、抜け目なく闇物資を横流しする仕事にありつき、時々、裏ルートで手に入れた米、味噌、醤油、小麦粉などを安く伸子に調達してくれる。おじさんは伸子に惚れているのだ。だから一度は結婚を持ちかけてみる。だが、あっさり笑い飛ばされ、照れながら冗談として取り下げる。
伸子もただ純情なわけではない。夫に先立たれ、助産婦をしながら息子2人を育てた苦労人。おじさんの気持ちも知ったうえで、その好意に甘え、生きるための物資を調達していたのだ。
上海のおじさんのキャラクターのモデルは、山田洋次監督の本当のおじさんだという。戦後の混乱期、食べるのに困るようになった山田家を助けてくれたのは、親戚一同から「ちょっと変わった粗野な人」と思われていた上海のおじさんのような人だったのだそう。伸子のセリフのいくつかは、監督のおかあさんが言っていた言葉そのままなのだとか。
映画のラスト。上海のおじさんが嗚咽をもらすシーンでは、彼の恋心を思って、胸が熱くなった。粗野な男の純情ほど素敵なものはない。

『ラブ・アクチュアリー』マーク(アンドリュー・リンカーン)
人生を楽しくするコツを知ってるシャイガイ


奥手で奥手で、女の子に同性が好きなのかと勘違いされるほどシャイな男が見せる勇気には、ちょっと感動させられる。
彼の名はマーク(アンドリュー・リンカーン)。画家であるマークは、親友ピーター(キウェテル・イジョフォー)の婚約者ジュリエット(キーラ・ナイトレイ)に恋している。「親友の婚約者だぞ? どうかしてるぜ、俺!」と自分をいさめても思いは収まらない。
彼らの結婚式では、ビートルズの「ALL you need is love(愛こそはすべて)」をフラッシュモブ的に演奏するという憎い演出で、ジュリエットを感動させた。だが、結婚式の記念ビデオの撮影に失敗した彼女が、無理やりマークの撮影したビデオを見てしまったことから、彼の思いは露呈してしまう。彼のビデオにはジュリエットしか映っていなかった。
ぜひ見て欲しいのは、マークが演出した自分自身の“失恋”。クリスマスイブ、聖歌隊に紛れて彼らの家を訪ね、玄関口に出てきたジュリエットに、フリップで思いを伝える。
“来年はきっとこういう恋人ができる・・・〈セクシーな女の子のグラビア写真〉 でも今年はこう言わせて 重荷に思わずクリスマスだから聞き流してほしい (本心を打ち明けるのがクリスマスだから) 君は最高 僕の心は君のもの 君がこういう姿に成り果てる日まで・・・〈ミイラの写真〉 メリークリスマス”
地味な顔立ちのアンドリュー・リンカーンがめちゃくちゃキュートに見える瞬間。彼は2010年に人気ゾンビドラマ『ウォーキング・デッド』の主演の保安官リック・グライムズに抜擢されたわけだが、プロデューサーのフランク・ダラボンやゲイル・アン・ハードは、きっと『ラブ・アクチュアリー』の彼が大好きだったんじゃないかと思う。
というわけで、ぼっちクリスマスなすべての皆さんに、メリークリスマス! 私は今日から、来年のこの日、皆さまにお薦めする作品セレクトに励むわよ!


この記事で紹介している作品

007 スペクター
(500)日のサマー
娚の一生
母と暮せば
ラブ・アクチュアリー

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)