じっとり手汗! 本当に怖い映画は?

コラム

  • twitter
  • facebook
  • はてなブログ
  • google+
  • LINEで送る

The_Walk
『ザ・ウォーク』1月23日全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

文=中山治美

映画を見ていると時として、自分でも理解出来ない感情が沸き起こることがある。ロバート・ゼメキス監督『ザ・ウォーク』(1月23日公開)がまさにそう。ドキュメンタリー映画『マン・オン・ワイヤー』(2009)でも取り上げられた、1974年にニューヨーク・ワールドトレードセンターの2つの棟を綱渡りした大道芸人フィリップ・プティの半生を描いたもの。クライマックスは、もちろん綱渡りシーン。藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』(2009)では1000万円獲得ゲームで地上50階のビルで鉄骨渡りしていたが、突風による揺れとか、緊張とかでバンバン挑戦者が落下していた。そのシーンが頭をよぎったが、さらに今回は3D効果もあって臨場感が増している。絶対怖いはず! と思っていても、顔を覆った指の隙間から覗き見るかのごとく、見たいという欲望は止められない。そして案の定今は、あのスリルを再び味わいたくて、もう一度観賞したいとすら思ってる。この感覚、失禁しそうなくらいビビったのに病みつきになった東京ディズニーシーの「タワー・オブ・テラー」を体感した時と似てる。

THE_MARTIAN
『オデッセイ』2月5日スカラ座ほか全国ロードショー
配給:20世紀フォックス映画
© 2015 Twentieth Century Fox Film

皆、気付いているかと思うが、実体験で恐怖を味わうとトラウマに。だが、こと映画においては間違いなく、恐怖の向こう側に快楽がある。主人公と同じく宇宙空間に放り出されたかのような恐怖を『ゼロ・グラビティ』(2013)で味わったばかりだというのに、同じく火星にたった一人取り残される『オデッセイ』(2月5日公開)をウキウキと見に行っちゃう。そしてまたも、宇宙飛行士仲間がマット・デイモンを救出するシーンで手に汗びっしょり。同様に戦争やホラーでも、恐怖を味わった後の爽快感が堪らず、クセになって何度も見たいと思ってしまうから厄介だ。

nobi
『野火』公開中
配給:海獣シアター
© SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

最近だと塚本晋也監督が、大岡昇平の同名小説を映画化した『野火』(公開中)。戦争の悲惨さを伝えるべく製作された本作は、塚本監督の「戦争映画で観客にカタルシスを与えてはならない」という考えもあり、腕がちぎれ、内臓が飛び散る戦闘シーンの残虐さはトラウマになること必至。特に敵の照明が炊かれてから機銃掃射が始まるまでの絶妙の間が恐怖心を掻き立てる。このイヤ~な感じは、中田秀夫監督のJホラー『女優霊』(1996)と『リング』(1998)のクライマックスにもあって、ゾクゾクするような魅力がある。貞子がブラウン管からはい出して迫ってくるシーンは忘れられない。

 

ただこれらを何度も見てしまうのは、他にも理由がある。どのような演出と技術が集約されているのか? その映像を確認したいからだ。恐怖であれ、感動であれ、人の五感を刺激する作品というのは、それだけ優れた映像表現を持ち合わせているということの証なのだ。

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)

関連映画

マイシアターとは?
お気に入りの映画館を「マイシアター」に設定しておくと、上映中の作品やスケジュールがかんたんに確認できるようになります。
マイシアターは2つまで設定できます。