ハリソン・フォードはいくら稼いだか?ハリウッドのギャラの仕組み解説

コラム

  • twitter
  • facebook
  • はてなブログ
  • google+
  • LINEで送る

(C)Bakounine/ABACA/Newscom/Zeta Image Harrison Ford attending the Star Wars: The Force Awakens European Premiere held in Leicester Square, London, UK, Wednesday December 16, 2015.

文=ロサンゼルス在住ライター 石橋朋子

世界中で大ヒットとなっている『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。本作にまつわる様々な話題の中でも注目されたのがハリソン・フォードと新人スターたちの出演料の格差である。そこで今回は、フォードのギャラの軌跡と、ハリウッドスターはどれくらい稼ぐのか、ギャラのしくみについて説明してみたい。

ハリソン・フォードのギャラは週1000ドル!?

『フォースの覚醒』のフォードのギャラについては様々な噂が流れているが、最も有力な情報とされているのは、米「バラエティ」紙がディズニー関係者のコメントとして記載した1000万ドルから2000万ドルというもの。一方で、新人俳優デイジー・リドリーが受け取った出演料は10万ドルから30万ドルとのことだ。仮にフォードが2000万ドルでリドリーが30万ドルだとして、1ドル118円で計算すると、フォードは23億6000万円、リドリーは3540万円となり、その差はなんと23億2450万円!! となる。

だが、約40年前、ほとんど新人だった頃のフォードと比べると30万ドルは悪くはない。フォード自身のコメントによると、彼がオリジナル3部作の1作目『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(77)に出演した時のギャラは週1000ドルだったという(一説には850ドルとの記載もあり)。撮影は84日間だったため12週とすると、彼が受け取った出演料はたった1万2000ドルだ。「あまりの安さに出演を断りそうになった」というのも無理はない。

ところが、この出演料に加え、ハリウッドにはバックエンドというシステムがある。映画の興行収入に応じて配当を受け取る制度だ。『新たなる希望』でのフォードの契約は、出演料とは別に、映画の純利益の0.25%というものだった。同作の全世界での総興収は7億7500万ドルで、ここから映画館の取り分や宣伝費、プリント代や配送代などの経費を差し引いても、数千万ドルがフォードの元に入ったと推測される。

バックエンドの計算方法は契約内容によって多種多様で、興収1ドルから発生するものや純利益に対するものなどがある。支払い時期も会社や契約によって違うが、実際にバックエンドを受け取った人の話によると、ある日突然、忘れた頃に「数千万ドルの小切手が届く」こともあるのだとか。一方で、興収は1億ドルを超えたヒット作でも経費が多くかかったため純利益が赤字となったとしてバックエンドが支払われず、訴訟にもつれ込むケースや、そもそも計算や報告がうやむやで、取り立てることすらできないまま泣き寝入りさせられるケースも多々あるのが現状だ。

『フォースの覚醒』の場合はバックエンドの契約の中でも稀な、「全世界興収が10億ドルを超えたら」発生する、というものだという。かなり製作会社側に有利な条件に聞こえるが、当初からヒットが期待されていた同作の全世界興収はすでに19億ドルを優に超え(2016年1月24日現在)、これまで史上最高だった『アバター』(09)の27億8796万ドルを超える勢いと言われているから、俳優にとって好条件に間違いない。フォードはここから0.5%を受け取る契約になっているとのことだ。

バックエンドの契約をする理由は大きく分けて2つある。2つは低予算の作品で、出演者やフィルムメーカーたちに多くのギャラを支払えない場合。そしてもう1つは大物スターの出演を確保したい場合、である。『新たなる希望』の場合、ジョージ・ルーカスは当時低予算でスタートした製作の苦肉の策として利益分配を申し出た。中にはルーカス自身のプロデューサーとしての配当から分けた人もいる。

10分1のギャラで出演したキャメロン・ディアス。実際に手にした額は……

NANCY RIVERA-ACEPIXS.COM/NANCY RIVERA- ACEPIXS.COM/Newscom/Zeta Image June 20 2011, New York City....Actress Cameron Diaz arriving at the New York premiere of Bad Teacher at the Ziegfeld Theatre on June 20, 2011 in New York City

他の作品の例で言うと、『ダラス・バイヤーズクラブ』(13)でマシュー・マコノヒーは20万ドル以下の出演料とバックエンド(率は未公表)を受け取った。当時、マコノヒーにはもうひとつオファーがあった。そのユニバーサル作品“Magnum P.I.”の出演料は1500万ドルと、さらに15%のバックエンドという好条件だったが、これを蹴って『ダラス・バイヤーズクラブ』に出演したという。またキャメロン・ディアスは、『バッド・ティーチャー』(11)では通常の10分の1以下にあたる100万ドルの出演料で合意し、その代わりに利益分配を多く受け取るリスクを選んだ。最終的に同作の全世界総興収は2億1600万ドルと大成功し、ディアスは計4200万ドルを受け取ったという。

『フォースの覚醒』のように、大物スターがブロックバスター作品に出演する場合、Aクラスの出演料とファースト・ダラー・グロス・パーティシペーション(FDGP)と言われる最高の契約が約束される。FDGPとは、作品の封切り時に発生する興行収入の1ドル目からを対象として利益が分配される計算方式のこと。『ゼロ・グラビティ』(13)に主演したサンドラ・ブロックは女優としては最高レベルにあたる出演料2000万ドルに加え、同作の全世界総興収7億1000万ドルからのFDGPによって、計7000万ドルの収入になったと言われている。「フォーブス」誌の俳優長者番付でここ数年連続1位となっているロバート・ダウニーJr.も、『アイアンマン3』の出演料は5000万ドルで、さらにFDGPを合わせて7500ドルの報酬を受け取ったと話題になった。

こうなると一般人にはピンとこない数字の羅列であるが、収入が多ければ当然支出も多いはずである。想像力を目一杯働かせてハリウッドスターの経費をみてみよう。

アメリカの所得税は州によって違い、中には所得税がかからない州もある。カリフォルニア州を例にとると、連邦税、州税、市税その他もろもろの税金を差し引くと残るのは約50%となる(総収入額によって変動)。さらにエージェントに出演料の10%、米俳優組合に最低1.57%(収入額により変動)を支払う。 一作品毎の経費ではないが、会計士、弁護士、パブリシスト、パーソナルアシスタントなどへの費用もかかる。パーティや授賞式などの衣装、スタイリスト、ヘアメイク、車両、旅費なども付き物だ。

収入も膨大なら支出も膨大。まさに桁違いの数字を動かすハリウッドスターたちなのであった。

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)