星条旗 
米大統領の裏側が分かる、傑作映画を紹介!

アメリカで今、「トランプ旋風」が吹き荒れています。トランプとはもちろん、アメリカ合衆国大統領選挙候補ドナルド・トランプ氏のこと。イスラム教徒入国禁止や女性蔑視発言など、歯に衣着せぬ放言で話題となり、日本でも度々ニュースとなっています。しかし、支持率は落ち込むどころか右肩上がり。やはり、米国屈指の実業家で大富豪という強烈な経歴と、極端な物言いをするスタイルが、停滞感のあるオバマ政権に不満を持つ人から、好感を持たれているのでしょうか。

2015年のソーシャルメディアの統計によると、アメリカの大統領選挙がこの地球上で、最も多く伝えられたニュースだと分かりました。まだ選挙戦は始まっていないにも関わらず、です。それほどに「米国のトップが誰になるのか」という動向は、世界的な関心事なのでしょう。果たして、仮にドナルド・トランプ氏が大統領になったら、どんな政策を打ち出していくのか。興味は尽きないところですが、その辺は政治学者さんたちにお任せして、ここで注目したいのは大統領という職業について。一人の人間が、当選したその日から合衆国国民・3億1千7百万人のリーダーとなり、世界中に影響力を行使していく任に就くのです。その裏側では、計り知れない苦悩や葛藤があるのは想像に難くありません。今回は、そんな大統領を一人の人間として描いた「大統領映画」で白眉のものを数本紹介します。

●『13デイズ』…未曽有の危機に直面した大統領

1962年。米ソ間における冷戦の緊張が高まり、第3次世界大戦寸前までになった国際問題、いわゆる「キューバ危機」が勃発しました。その起こりから終結までの13日間を描いた映画がこちらです。全面核戦争による世界終焉の危機。その火消しに奔走する若き合衆国リーダー、ジョン・F・ケネディは当時45歳。彼と彼をサポートするケヴィン・コスナー演じる補佐官の、緊張と焦燥がリアルに表現されています。互いの腹の内を探り合う緊迫の外交戦が、臨場感あふれる演出によって表現されており、結果は分かっているのに、ドキドキすること間違いなしです。

●『ニクソン』…人間としての弱さを見せる大統領

アメリカ史上に残る政治スキャンダル「ウォーターゲート事件」。その当事者として悪名ばかりが後世に残る、第37代アメリカ合衆国大統領リチャード・ニクソン。しかし、ベトナム戦争撤退や麻薬取締局(DEA)を設置するなど、抜群の功績を残していることは意外なほど知られていません。そんなニクソン大統領の真実を『プラトーン』『7月4日に生まれて』などで知られる名匠オリバー・ストーン監督が描く伝記的作品です。豪腕政治家として権勢をふるいながら、時に人間的弱さも見せる人間・ニクソンの姿を名優アンソニー・ホプキンスが熱演。その強烈なキャラクターが、今回のドナルド・トランプ氏とオーバーラップするかも。

●『大統領の執事の涙』…執事の目から見た大統領

アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、フォード…。歴代大統領に仕えた、実在の黒人執事をモデルにした物語が、この『大統領の執事の涙』です。本作の主人公、セシル・ゲインズの視点から、彼の34年におよぶ任期の中で起こった、20世紀アメリカ史に残る様々な事件と、その時々の大統領の姿が描かれています。さらにゲインズ自身も、公民権運動に参加したり、KKK団に襲われたり、アメリカの黒人解放組織「ブラックパンサー党」に加入するなど、歴史的出来事に巻き込まれていくあたりは、黒人版フォレストガンプといった印象。バラク・オバマ大統領も涙ぐんだという、傑作です。

●『エアフォースワン』…戦う大統領

ここまでは事実をもとにした映画を紹介してきましたが、この作品だけは完全にフィクション。「戦う」といっても、権力闘争的な意味ではありません。本当に己の肉体を賭して、大統領本人が戦っているのです。ストーリーは大統領専用旅客機・エアフォースワンが、アメリカに帰国する際にテロリストたちに乗っ取られてしまい、それをハリソンフォード演じるプレジデントが奪還するという、至ってシンプルな内容。内なる葛藤は全く描かれておらず、痛快なアクション映画となっています。武装した凶悪なテロリストを次々と倒していくハリソンフォードの雄姿は見もの!スカッとストレス解消したい時におススメの1本です。

いかがでしたでしょうか? アメリカ大統領選挙の投開票日は2016年11月8日。その数ヶ月前から米国にとっての「4年に1度のお祭り」の盛り上がりは、日本にもニュースなどで伝わってくるでしょう。それまでに本コラムで挙げた作品をチェックしたら、このお祭りをより一層興味深く見ていけること、間違いありません。

●文 ロックスター 小島