【ブルボンヌ新作批評14】崖っぷちキャリア女子とイケメンゲイの人生補完計画!『これが私の人生設計』

コラム

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これが私の人生設計

イタリアで大ヒットした話題作『これが私の人生設計』。LGBT映画特集第2弾の主役は、現代に生きる独身崖っぷちキャリア女子とバツイチ子持ちイケメンゲイのタッグでございます。昔からゲイ映画にありがちなのが、ゲイカップルに女性をくわえるパターンなのよね。知らない世界の人たちが勝手にやってる話だけだと、よほどのスキモノじゃないと覗いてもらえませんから、接点となるキャラも重要ってこと。そしてこの映画のヒロインは、今の日本女性たちにも多くの共感を得られそうな「頑張ってるのに報われない働く女性」ポジション。実はイタリアも根強い男社会の国だって知ってたかしら?

なんとなく、欧米は同性婚や女性の社会進出がガンガン進んでるイメージがあるけど、やっぱり国ごとに事情は違うの。たとえば出生率。フランスやスウェーデン、アメリカなどの1.8人以上に対して、イタリアは日本とほぼ同じ1.4人どまり。そして、女性の管理職比率。これも、アメリカが40%越え、ヨーロッパも軒並み30%越えなのに対して、イタリアは25%前後と低いほうなの。まあ日本の10%ちょいという中国より低い数値も悲しいものですが、ヨーロッパの仲間の中でハッキリ低い分、イタリア女性たちの不満が伝わってくるわ。きっとハイヒールをカツカツさせて、苛立つ姿もやけにセクシーなはず(イメージ)。

これが私の人生設計

輝かしい才能を持ちながら、男社会の建築業界でなかなか認めてもらえないセレーナ。演じるパオラ・コルッテレージさんは監督の奥様で、ゴツめの輪郭と豪快な表情が、ゲイとの相性の良さを感じさせます。彼女は生活費の足しに始めたバイト先レストランのイケメンオーナーに一目惚れをするのですが、なんと彼は…ゲイだったのです!(って観てる人にはバレバレでしょうが、バレるシーンが楽しいの!)複雑な気持ちになりながらも、優しくてオシャレで話も合う彼に「乳は揉んでもらえないけど、それ以外は言うことなしね…」てな結論に至って、同居生活を始めるのでした。あと、彼には「男遊びが激しい」問題もあって、次々に登場するオトコたちも見どころの一つ。個人的には出会い系アプリでつかまえたレザーの熊兄貴「奴隷72」さんがツボでした。

これが私の人生設計

と、ここまでは、日本の一部の人たちも楽しんでいる、ゲイと仲良し女子の同居生活。ところがセレーナが、大型公営住宅のリフォーム案に「男性」として応募していたことで、ゲイチームと組んで男社会をギャフンと言わせる奮闘劇が始まるのです。間の抜けたところはあるけれど、良いもの作りをしたいという想いは誰にも負けないセレーナの姿勢に、徐々に周囲の人たちも、それぞれの「隠していた自分の気持ち」に向き合っていくのよね。こういうのってただイイコちゃんなだけだと、こっ恥ずかしいけど、この映画は説教臭さがほとんどないのも魅力。日本もイタリアも同じ、顔を見れば「早く結婚しなさいよ」連呼のおかんや親戚ババア、そしてイケメンゲイ・フランチェスコの周囲のオトコたちがいちいち笑わせてくれるので、笑ってたらいつの間にか、マジメなメッセージにも気づかせてもらえるのでした。

これが私の人生設計

主軸はセレーナの「男社会で闘う女性」ではありますが、一度は本音を隠して結婚したけれど正直に生きることにしたゲイが「子供」とどう向き合うか、という進んだ問題や、企業の中でボスに媚びへつらうことにどれほどの意味があるのか、仕事とは言え魂のないもの作りをすべきなのか、など、日本で働くほとんどの人にも通じるモヤモヤに、明るい光を与えてくれるハッピーな映画です。軽いのに栄養もちゃんとある、まさに働く女性が好きなヘルシーフードの気分で、楽しく摂取しといて~!

『これが私の人生設計』
2016年3月5日 新宿ピカデリー他にて公開
配給:シンカ
(C)2014 italian international film s.r.l

記事制作 : ブルボンヌtwitter(外部サイト)

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