ダン・レモンが生み出した猿シーザー(上)とシーザーを演じるアンディ・サーキス(下) VFXの進化をあらためて教えてくれたのがこのシリーズだった - (C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

『猿の惑星』リアルな猿を生んだ名演とコダワリ!凄腕クリエイターが明かす舞台裏

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 SF映画の金字塔を新たな視線でリブートした、大ヒットシリーズ最新作『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』。新薬の実験で高い知性を獲得した猿たちが、山奥で独自のコミュニティーを形成。今作では、ウィルスによって絶滅の危機に瀕している人類との最終戦争が描かれる。本シリーズの見どころが、緻密なCG映像によって描き出された、生きているようにリアルな猿たち。シリーズ全作のVFXを手がけ、『ジャングル・ブック』ではアカデミー賞視覚効果賞を獲得したWETAデジタルのVFXスーパーバイザー、ダン・レモンに驚異の映像の舞台裏を聞いた。(取材・文:神武団四郎)

 『聖戦記』のVFXについて、レモンが最初にマット・リーヴス監督と話し合いをしたのは撮影開始の約半年前のことだった。「新たな映像表現について意見を求められたんだ。ひとつは雪山で猿たちにアクションをさせること。そしてバッド・エイプという名の新キャラクターを出したいということだった。この猿は、小さくて歳を取った賢いけれどちょっと気難しい性格の持ち主。要は『スター・ウォーズ』のヨーダの猿バージョンだと言う。とても素晴らしいアイデアだけど、どちらも技術的には大変そうだねと答えたよ(笑)」。

 レモン自身は『猿の惑星』シリーズに毎回2つのゴールを設けてきた。「ひとつは猿たちのリアルなルック。毛並みであったり皮膚の質感、目の潤みにも気をつけているよ。もうひとつは、感情を伝えるための振り付けなどの身のこなし。毎回さらなるレベルアップを目指してきた」。前作も手掛けたリーヴス監督も、猿たちのパフォーマンスにこだわりを持っているという。「マットの基準は、“自分がそれを信じられるか”なんだ。猿たちの演技がリアルに思えるか、生きているように感じられるか。その答がノーだったら、その理由を分析して改善する。その作業の繰り返しさ」

 今シリーズの猿たちは、表情を含め俳優の演技をデジタル化するパフォーマンスキャプチャーが使われている。「この手法の利点は、俳優が通常の役づくりのプロセスを変更せずに演じられることだ」とレモン。主人公シーザを演じているのは『ロード・オブ・ザ・リング』三部作や『キング・コング』に出演してきた、モーションキャプチャーの第一人者アンディ・サーキスだ。「アンディが多彩な役を演じ分けるのを見て、最初はみんな驚いていたよ。でも、実は彼は“モーションキャプチャーが上手い”わけじゃない。優れた性格俳優というだけのことなんだ。高い演技力さえあれば、誰でもモーションキャプチャーの表現が可能だと知らしめたのがアンディの功績さ。今回バッド・エイプを演じたスティーヴ・ザーンも、コメディアン出身という持ち味を生かし、重くなりがちな物語に軽快さを与えてくれた」

 リアルな猿たちを描き出すには、優れた俳優だけでなく、その動きを猿へと変換するCGクリエーターが不可欠。WETAのアーティストたちは、毎回スタジオの近くにあるウェリントン動物園で本物の猿を観察しているという。「赤ん坊から大人まで15匹のチンパンジーが暮らしているんだ。アニメーターが動きの参考にするだけでなく、たとえば映画の中で高い木によじ登ったり、枝にぶら下がっている猿たちは、本物の猿の映像をロトスコーピング(映像をトレース)して合成しているんだ」

 『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』や『キング・コング』、『アバター』など、錚々たる作品でVFXを指揮してきたレモン。そんな彼はVFXクリエーターに必要な資質を「情熱」だと答えた。「少年時代に観た『ジュラシック・パーク』の衝撃が忘れられず、僕はこの仕事を目指すようになったんだ。そしてデジタルのテクノロジーは、僕が働き出して以降もたえず進化を続けている。VFXクリエーターには、そんなテクニカルなスキルも必要だけど、それ以上に大切なのが情熱だと思う。何かをリアルに見せるのは、たいへんな時間と忍耐が必要だ。たとえばこの映画に出てくる猿たちも、リアルなディテールのために、シワ一本やうぶ毛を数本といった細かいレベルの作業が重要になってくる。好きという気持ちがないと、続けるのは難しいだろう。逆に情熱を持ち続けられるなら、きっとこの世界でもやっていけるはずさ」。

映画『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』は10月13日より全国公開

記事制作 : シネマトゥデイ
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