『ゴーストバスターズ』では脚本を、『恋はデジャ・ブ』などでは監督を務め、数々の記憶に残るコメディー作品を手掛けたハロルド・ライミスさんが亡くなって、はや4年。父・ライミスさんとの関係を記した回顧録を執筆した娘のヴァイオレット・ライミス・スティールが、6月6日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで、父親との思い出を語った。

 回顧録「ゴーストバスターズ・ドーター:ライフ・ウィズ・マイ・ダッド、ハロルド・ライミス(原題) / Ghostbuster’s Daughter: Life With My Dad, Harold Ramis」は、俳優、脚本家、監督、製作者とさまざまな顔を持ち、現代のアメリカのコメディー映画に大きな影響を及ぼしたライミスさんの人生を、ハリウッドで活躍するまでの過程を追いながら、家族の中での素顔や彼の哲学、価値観など、娘ならではの視点で捉えたもの。「父との出来事を忘れてしまう前に、新鮮な状態で書きたかったの。父との思い出はどんなことも忘れたくなかったという思いが、強制的に執筆させてくれたのだと思うわ」ときっかけを話す。

 執筆過程において、ハロルドさんについて改めて驚かされたことはあったのだろうか。「それほど大きなサプライズはなかったわ。彼は自分自身のことを話すのが好きで、子供時代やコメディーの世界に入った理由、そして自身の哲学まで多くの話を長年聞いてきたもの。(驚かされるよりも)それらをいかにまとめあげ、作品として提供できるかを考えたわ」とヴァイオレット。映画『クラブ・パラダイス』までは、父親が関わった映画のセットをよく訪れていたそうだ。

 一世風靡した『ゴーストバスターズ』が公開されたときには、うんざりすることもあったそうで、「当時、わたしは小学3年生だったのだけど、父が車で迎えに来ると、クラスメートはみんな父の周りに集まっていたわ。わたしは心の中で、『イゴン(『ゴーストバスターズ』でのハロルドさんの役柄)がどうしたっていうのよ?』と思っていたわ」と父親に多少反抗していた時期を明かす。だが、当のハロルドさんは、誰とでも特撮や(映画の)ストーリーを話し、聞き手を楽しませることも好きだったそうで、「わたしも年を取るごとに、父の作品への感謝が増し、新たな解釈もできて、ようやく誰もが彼を評価している理由が理解できたわ」と気持ちの変化を語った。

 ハロルドさんがセス・ローゲン演じる主人公の父親役として出演した映画『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』については、「あの映画での父のシーンは、ほとんど即興でやったものだったけれど、まさにわたしの父そのものだったわ」と語る。続けて、「実は、あの映画の2、3年前にわたしは初めての子供を妊娠したのだけど、その状況が映画と似ていたの。急な妊娠だったから、驚いた父はあまりサポートしてくれなかった時期があったわ。でも、あの映画を観る前に父が『この映画はわれわれの状況に近い。今作はお前と仲直りするためのものだ』と言ってくれたのよ」と笑顔で振り返った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)